
いつもの猿之助さんの一座に、
雀右衛門丈、歌六丈、團蔵丈。
猿之助の法界坊はかなり悪人寄り。
(どうしても、
これまで見た吉右衛門丈や勘三郎丈との
比較になってしまいます。)
向島の座敷で、
おくみと要助が痴話喧嘩をしている背後で、
掛軸を取り替える場面。
吉右衛門丈や勘三郎丈がしていたような
おふざけは少な目。
法衣をひるがえして、
バレリーナのような動きもなし。
リアルさを追求しているように見えました。
猿之助丈では、これほどまでに薄い衣裳で
肌が露出するような役は初めて見ます。
細いのですが、均整のとれた筋肉が付き、
さすが動ける、踊れる人の身体⋅⋅⋅と感心。
尾上右近のおくみ。
かなり色っぽいですが、
要助といい仲になっているので、
このくらいでちょうどいいのかも。
隼人の要助。
父、錦之助丈が得意としているような、
柔らかみのある役が似合うようになってきました。
種之助の野分姫。
可愛らしい。
殺されてからは凄みがありました。
前回歌舞伎座で法界坊が上演された折、
(2014年9月、法界坊は吉右衛門丈。)
野分姫は、初日から中日までは種之助、
それ以降千穐楽まで児太郎という配役でした。
なので、野分姫は2度目。
巳之助の五百平。
きびきびとした台詞、動き。
前半だけの登場で残念。
白塗りの顔にどこか
父、三津五郎丈の面影を感じます。
門之助おらく、歌六甚三、團蔵源右衛門も
舞台をしっかりと締めてくれています。
特に歌六丈は猿之助との共演は珍しい⋅⋅⋅
と感じましたが、よく考えてみたら、
若い頃は先代猿之助の一座にいたので、
猿之助のことは幼い頃からよく知っている仲。
そして、
大喜利 隅田川渡しの場、「双面水澤瀉」。
猿之助丈は先ほどまでの
薄汚い姿からうって変わり、
ふっくらと可愛らしい女方。
右近丈のおくみが踊る姿を見る目が、
役を離れてとても優しげだったのが
印象に残ります。
雀右衛門丈のおしづ。
前回の「法界坊」では、
可愛らしいおくみでしたが、
今回は渡し守として
この場をしっかり納めてくれました。
仇っぽい姿もお似合いで、
先代雀右衛門丈もこういったお役が得意だった、
と思い出しました。