先日の双蝶会での、
「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」。

舞踊の大曲であり、近年、
歌舞伎の本公演でも上演はまれなこの演目。

まだ若い役者さんたちが、
この舞踊に挑む姿は清々しかったです。


今回の配役は、
関守関兵衛実は大伴黒主⋅⋅⋅歌昇
小野小町姫・
 傾城墨染実は小町桜の精⋅⋅⋅児太郎
良峯少将宗貞⋅⋅⋅種之助

双蝶会の会主である、
歌昇、種之助兄弟はそれぞれのニンに合い、
素晴らしかったです。

目が釘付けになったのは、
中村児太郎丈の踊り。
芯が通っており、強いエネルギーを感じました。


思えば成駒屋の「関の扉」、見ています。

六代目中村歌右衛門の最後の墨染。
70代になっていた歌右衛門丈は、
二役を踊ることはせず、墨染のみ。
桜の幹から出て来たときには、
妖気が漂いました。

先代中村芝翫丈の墨染。
ひとつひとつの描写力が的確で、
背景や人物が浮かび上がるよう。

中村福助丈の小町姫は、
当時花形らしいみずみずしさ。

そして今回の児太郎と、
三代、四代に渡っての芸を見続けられることは
奇跡のように感じます。

桜に積もる雪。(2015年4月)