
1月から始まる、高麗屋三代襲名披露。
松本幸四郎は二代目白鸚を、
市川染五郎は十代目幸四郎を、
松本金太郎は八代目染五郎を襲名します。
親子孫三代のおめでたい襲名です。
とりわけ、現⋅染五郎は
幸四郎という大きな名跡を背負って立つ責任があり、
これからの活躍が楽しみです。
ただ、観客として今はまだ、
染五郎という華やかな名前に対する、
名残惜しい気持ちが強いです。
「七代目市川染五郎」として、私が見た舞台を
振り返ります。
近年の舞台から。
2010.9「俊寛」丹波少将、「引窓」南方十次兵衛
(10年ほどのブランクを経て、再度歌舞伎を見るように。
青年であった染五郎が、
南方十次兵衛のような大人の役に⋅⋅⋅)
2011.2「お染の七役」鬼門の喜兵衛
(当時亀治郎の猿之助との共演。)
2011.6「頼朝の死」源頼家
(幕開きの物思いにふける横顔⋅⋅⋅)
2012.1「三人吉三」、「奴凧廓春風」
(奴凧の高速回転。)
2012.4「仮名手本忠臣蔵ー四、七段目、討入」大星由良之助
(若い若い由良之助。)
2012.5「弥生の花浅草祭」
(勘九郎との踊り比べ。)
2013.2「吉野山」忠信、「新皿屋舗月雨暈」磯部候
(転落事故からの復帰公演。父幸四郎の口上。)
2013.4「壽祝歌舞伎華彩」
(新生歌舞伎座こけら落とし、最初に舞台に登場。)
2013.10「一谷嫩軍記」敦盛、「鏡獅子」小姓弥生後に獅子の精
(鏡獅子の胡蝶は息子金太郎と、前年に初舞台の團子。)
2014.1「東慶寺花だより」信次郎
(井上ひさしの小説を歌舞伎化。)
2014.5「釣女」太郎冠者、「邯鄲枕物語」艪屋清吉
(明治座、座頭公演。夜の部は「伊達の十役」。)
2014.9「菊畑」虎蔵実は牛若丸
2015.8「船弁慶」義経 (双蝶会)
(「阿弖流為」やアメリカでの「鯉つかみ」を終えた夏。)
2015.9「紅葉狩」更級姫、「競伊勢物語」豆四郎・業平
2015.11「実盛物語」斎藤実盛
2015.12「東海道四谷怪談」お岩さま他
2016.1「廓三番叟」太鼓持
2016.4「松寿操り三番叟」三番叟、「不知火検校」生首の次郎
2016.6「義経千本桜」知盛、吉野山ー静御前
(猿之助と組んで、他に「すしや」の維盛も。)
2016.8「権三と助十」助十「東海道中膝栗毛」弥次郎兵衛
(「弥次喜多」の宙乗りでは、大車輪。)
2017.4「伊勢音頭」福岡貢、「熊谷陣屋」源義経
2017.8「刺青奇偶」鮫の政五郎、「歌舞伎座捕物帖」弥次郎兵衛
2017.11「鯉つかみ」滝窓志賀之助、鯉の精
(夜の部は「五段目」の斧定九郎、
「大石最後の一日」磯貝。染五郎として最後の役々。)
⋅⋅⋅これらは私の見たもの、活躍のほんの一部です。
他に特筆するものとして、「勧進帳」の弁慶の初役(2014.11)。
新作では「阿弖流為」(2015.7)。
そしてずっと以前、
私が歌舞伎を見始めた1980年代後半、
染五郎丈はまだ中学生でしたので、
歌舞伎の舞台にはあまり出ていませんでした。
しかしながら、
『世界最年少14歳での「ハムレット」主演』という
天才ぶりは有名。
もっともこれらの舞台は見ていません。
私が見たのは、「勧進帳」であれば四天王、
「船弁慶」であれば舟子の一人、
父⋅幸四郎の「熊谷陣屋」であれば堤軍次というような役。
まさしく、修行時代の役々。