シネマ歌舞伎「め組の喧嘩」、観てきました。


平成24年5月、平成中村座にて上演されたものです。

平成23年11月から翌年5月まで行われた、
浅草での平成中村座ロングラン公演。
私もこの5月の公演を含め、
いくつかの公演を見に行くことができました。

病気休業していた中村勘三郎丈は、
11月公演の「お祭り」で舞台復帰しました。
そこから、新橋演舞場での子息の勘九郎襲名公演も挟み、
5月の千穐楽まで駆け抜けました。

そして、公演が終わってすぐに新たな病を得て、
この年の12月には帰らぬ人となってしまいました。
勘三郎丈、最後のこの舞台を私も見ることができ、
本当によかった⋅⋅⋅と思います。


勘三郎丈は「め組の喧嘩」の辰五郎は、
このとき初役だったそうです。
もともと、辰五郎の役には
あまり乗り気でなかったようです。

しかし中村屋古参の弟子、小山三さんの自宅から、
祖父六代目菊五郎の「め組」に関する資料が見つかり、
俄然、上演に乗り気になったそうです。


鳶の頭の辰五郎、本来なら粋にいなせに⋅⋅⋅
と演ずる役でしょう。

でも、勘三郎丈の辰五郎は、
悔しさを押し殺して はやる子分たちを止め、
本心を隠して兄貴分の喜三郎に後を託し、
妻子にさえ本当のことを言えずに苦悩する⋅⋅⋅
そういった気持ちを大事に表現されていたように感じました。




今回改めて、映像として見てみると
劇場にいるのとはまた違った臨場感を感じました。

役者さんの表情やしぐさがはっきりと見てとれます。
配役表に名前のない脇の役者さんたちも、
実にいきいきとして見えました。