国立劇場「伊賀越道中双六」。


普段の歌舞伎公演では、
ほとんど上演されることのない場面。


クライマックスである「岡崎」は、
救いようのない暗い場面。

同じ子殺しを扱った作品でも、
「寺子屋」や「熊谷陣屋」などは
涙することができますが…

この「岡崎」では、
なぜそこまでするのかという
必然性が見えて来ず、
共感しにくかったのかもしれません。

そこまでしなければ、
仇討ちというものは叶わない、
また、仇討ちのためなら
いろいろなものが犠牲にされる、
ということは頭では理解できるのですが。


「伊賀越道中双六」について、
渡辺保氏は、著書「歌舞伎手帳」で、
多くの項を割いています。


(饅頭娘)(奉書試合)
(遠眼鏡)(岡崎)
(沼津ー棒鼻・平作住家・千本松原)

「岡崎」の項では、
「この作品は滅多に上演されない」とあるとおり、
前回平成26年上演の折は、
実に44年振りだったそうです。

今回この通し上演を初めて見て、
書物や古い写真で見るのみだった作品を、
実際に見ることができたという
不思議な感覚がありました。

国立劇場50周年記念の最後の公演。



国立劇場前の庭園。

熊谷桜、
十二代目市川團十郎丈ゆかりの桜だそうです。