3か月続きの「仮名手本忠臣蔵」通し上演。
大千穐楽の今日、観劇してきました。




まずは、八段目「道行旅路の嫁入」から
九段目「山科閑居」。


児太郎さんの小浪は哀れで儚げ。
父、福助さんに似ているところもありますが、
福助さんが華やかな美しさなら、
児太郎さんは寂しげな美しさ。

錦之助さんの力弥、錦絵のような姿。
この場の力弥はしどころが多く、
3年ほど前の梅玉さんが心に残っていますが、
今回の錦之助さんも素晴らしい。

小浪と力弥は親が決めた許嫁ですが、
以前顔を合わせています。
それが、10月に上演した、
二段目「桃井館」で描かれているようです。
10月も見ていたら、
さらに理解が深まったかもしれません。


十段目「天川屋義平内の場」、
普段の通し上演ではまず、上演されない場。
もちろん私は初見です。

台詞がきっぱり、朗々とした歌六さんは、
骨太な義平にぴったり。


いよいよ十一段目「討入り」。
普段の通し上演では、
取って付けたような感があり、
夜の部の最後のこともあり、
見ないで帰ってしまったこともたびたび…

しかし今回は、
この場のみ出演の役者さんも多く、
見どころのひとつになっています。


米吉さんの力弥、柔らかみと凛々しさ。
初々しい若女形である米吉ですが、
こういった若衆役も似合います。

錦之助さんはこの場では、寺岡平右衛門。
他の浪士たちとは違う
足軽という身分をにじませながら、
大きさ、華やかさが目立っていました。

隼人さんは矢間重太郎、
台詞も動きも、成長を感じました。

團蔵さんの原郷右衛門、
いるだけで大きな存在感。

松緑さんの小林平八郎、
鮮やかな泉水の立ち回り。

市川男寅、中村玉太郎、
それから中村梅丸といった
超・若手が出演していたのも目をひきました。


国立劇場開場50周年記念の「仮名手本忠臣蔵」。
楽しませていただきました。


今後も国立劇場ならではの企画を期待します。



…そう言えば、昨年の観劇納めも、
「東海道四谷怪談」で討入りでした。