今回の九州の地震では、
貴重な文化財にも大きな影響がありました。

阿蘇神社や熊本城の惨状は、目をおおいたくなるほど、
地元の方の落胆はどれほどかと心が痛みます。

熊本城について、これまでほとんど知らなかったのですが、
写真や映像で見ると、
黒を基調としたシックな色合いのお城だったようです。


熊本城の歴史を少し調べてみました。

熊本城は加藤清正が
それまであった城を整備、改城したところから
歴史が始まったようです。
加藤清正は熊本(肥後国)の領主となり、治世を良くしたことから、
後の世まで熊本の人に、「清正公(せいしょこ)さん」
と慕われる存在になったそうです。

加藤清正と言えば、豊臣秀吉の家臣として、
歌舞伎の舞台にも登場します。

有名なのが、「二条城の清正」。
豊臣秀吉の遺児、秀頼の命を
徳川家康の陰謀から守る姿が描かれています。
昭和になってからの新作歌舞伎で、
初代吉右衛門の当たり役、秀山十種の内に数えられています。
このお正月に、松本幸四郎さんが上演しました。

(歌舞伎座 筋書より)

「増補桃山譚」(ぞうほももやまものがたり)は、
明治時代に作られた活歴のひとつ。
伏見大地震(1596年)の際、
加藤清正が桃山御殿に駆けつけて 忠誠を示す場面が、
「地震加藤」としてよく知られていたようですが、
近年では上演されていません。

古典では有名なところで、
「祇園祭礼信仰記ー金閣寺」の佐藤正清、
「絵本太功記」の加藤正清などがあります。

(古典歌舞伎では、歴史上の出来事を上演することについて、
幕府に対してはばかりがあったため、
人名を巧妙に、しかし誰でも そうと分かるように変えています。)

「八陣守護城」(はちじんしゅごのほんじょう)の佐藤正清では
毒酒を飲まされながらも生き永らえ、熊本城に帰るという
不屈な姿が描かれています。


文化財の復元には、
莫大な労力と時間がかかることと思います。
いつの日か元の勇姿を見せてくれることを願いつつ、
見守ることくらいしかできないのが心苦しいのですが…