今日は映画を観に、郊外のシネコンへ。
夏休みに入り、また、三連休の最終日ということもあるのか、
チケットを求める大行列。

開演時間が迫り、係の人が「『春興鏡獅子』の方はこちらへ…」と、
別な列に並ばせてくれました。

今日は家族連れが多いせいか、
『春興鏡獅子』を観るお客さんはさすがに少なく、
座席はすいており、快適でした。


<「月イチ歌舞伎」スタンプラリー用のスタンプです。
差金つきの胡蝶がかわいいです。>



映画の冒頭に『春興鏡獅子』の紹介。
九代目市川團十郎が初演し、
六代目尾上菊五郎が練り上げたこと、
六代目の孫に当たる勘三郎が、
生涯かけて取り組んできたことが紹介されました。

勘三郎さんのインタビュー。
20歳の初演の時には、1年前から稽古に取り組み
なんとか及第点をもらった…
2度、3度と上演を繰り返すうち、
上手に踊る、かわいく見せるということに気持ちが向き、
思ったように踊れなくなった・・・
身体は踊りを身に付けているのに、
うまく踊れないということが続いたある時、
頭、心が邪魔をしているということに気づいた・・・
それからは無心に踊れるようになったが、
年齢と共に身体がついていかなくなる…
・・・というような話でした。


「春興鏡獅子」、実際の舞台でも観ましたが、
前半の弥生の踊りは見所ばかりで、
あっという間に終わってしまう印象でした。
しかし今日は、上のような話を聞いた後だったせいか、
一つ一つの動きに重みを感じました。

この映像が撮影されたのは平成21年1月です。
この頃は、平成中村座やシアターコクーンでの上演、
「大江戸りびんぐでっど」の企画など、
多忙を極めていたことと思われます。
翌年の暮れには体調を崩し、舞台を降板していますから、
何らかの不調を抱いての上演だったのかな…と
勝手ながら想像しました。

しかしながら舞台は、
そんなことを全く感じさせないほど充実していました。
スクリーンの大画面で見ても、
一つ一つの振りの間、ほとんど呼吸をしていないのでは、
と思われる息の詰んだ踊りでした。

また、踊り手だけでなく、
長唄囃子の皆さん、後見の方にとっても、
「春興鏡獅子」は大曲であることが伝わってきました。