夕焼けを見に、公園に寄り道。


夕暮れの川沿いに、
チガヤの白い穂が目立って見えました。

茅萱 <チガヤ>
ススキに似た穂を出しますが、背丈はうんと低いです。
地下茎で増えるので、このように一面に広がります。
雑草として庭などに入り込まれると、やっかいな植物です。

しかし、人間との関わりも深かったようです。
古名をツバナと言い、
万葉集などにも詠われているようです。


舞踊、清元「傀儡師(かいらいし)」にも、
チガヤ(ツバナ)が出てきます。

「見る目可愛き水仙の
初に寝締の嬉しさに
恋という字の書き初めを
湯島に掛けし 筆つばな」

八百屋お七が見初めた寺小姓吉三は、
水仙の花のような美しさであった⋅⋅⋅

まだ幼さの残るお七が
湯島天神に奉納した書き初めは、
ツバナの穂で書いたように
たどたどしい文字であった⋅⋅⋅

というような意味でしょうか。
・・・私の解釈なので、
間違っているかもしれません。

舞踊の歌詞は二重、三重に
意味を持つことが多く、
解釈は簡単ではありません。

【追記 2019.3.1】
「筆つばな」とは、つくしのことらしいです。
ですので、ツバナの穂で書いた⋅⋅⋅という解釈は、
間違いのようでした。
というわけで、勘違い記事ですが、
残しておきます。


この、「傀儡師」という舞踊は、
からくり人形を操る大道芸人である
傀儡師の姿を写した舞踊です。

からくり人形の連想から、
花嫁、三人の性格の違う息子、八百屋お七
お七を救う紅長というおじさん、
義経、平知盛など
さまざまな人物を踊り分けます。

歌舞伎公演では
めったに上演されることはないようです。
私もこの舞踊は、テレビで見ただけで、
劇場では見たことがありません。

上演記録を見ると、
坂東巳之助さんの初お目見えのときに、
祖父の九代目三津五郎丈が踊ったのが
最後のようです。
もう、20年以上前です。

祖父 九代目も、父 十代目も
今はこの世にいなくなってしまいました。
巳之助さんには今後精進して、
いずれはこの舞踊を踊っていただきたいと
願っています。