【水曜小説】 怪虫芸者Ⅷ 最終回特大号 | せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

うひょぉぉぉおおおずぐげらびんぼえええっ!

うわ、爪の中の蟲が暴れてるぞ。…………………………そんなに食べられないよう…………んがっ!…………ががっ!……………ママ! ママぁ!……もうぶたないで! ぶたないでぇ! いい子にするから、いい子にするからあっ!………………あっ! びっくりした、死ぬかと思った。ってかしばし気絶してたようなのだが見てはならない夢を見てしまったような気がするのだ。それは置いといてああっこのまま現実から逃避してぇなあ逃避してぇなあと思っても現実は蟲が蠢く左の淫らな親指はカレーライスのスプーンくらいに腫れ上がり親指の付け根の手の平のプックリとした部分もたいそうに腫れ上がり強烈に脈を打ってるじゃないかああっ! 親指のイェーイの腹の部分の堅くひび割れて毛が生えてる部分もそれなりに面積が広がった分ひびが大きくなりまるで堅焼きせんべいでおばあちゃんのぽたぽた焼きみてえになってるのだがおばあちゃんのぽたぽた焼きっておばあちゃんの何がぽたぽたしたんだろ。それよりもあの丸く平べったいおせんべいの海苔ってどうやって貼ってるんだろう。あ、おばあちゃんが一枚一枚海苔を舐めてくっつけるとか。したらおばあちゃんのぽたぽた焼きのぽたぽたってのは、とそこまで考えを巡らせてたら親指の腹から出てる毛が引っ込んで背筋が凍るような痛痒感と共に親指の爪の間から血が滲んできてそこからもっと強い毛というか最早刺のようなもんが突き出してきたぞ、おいおい。もうおれ的にはフルチンでヤットコを握ったままで親指の成り行きを凝視するくらいしか術はねぇのだがんでもいつまでもフルチンのままでここにいるわけにはいかないしとにかくズボンをちゃあんと穿きたいじゃないか。ってなことでさっきより親指の付け根の手の平のプックリした部分の腫れが著しく酷くなりってか鶏卵いわゆる朝に食べる玉子月見そばに入れる玉子を一回り大きくしたぐらいになって心なしか皮膚が透けて見えてそこにも何か蠢いてるのが見て取れるのであってもう発狂寸前とか一周しちゃって常人に戻ったよゆうかとにかく冷静になって爪の間から出ている刺らしきものから引っこ抜いてみたりなんかしてみちゃったりなんかしようかと、だって手がかかりはそこしかねぇじゃんかよう。なんだよう、したらチマキとかおごってくれよう、あの銀杏が入ってるヤツがいいなあ。だめだまだ逃げようとしてるおれなのだがこんな状態で逃げようとしねぇヤツとかいたらそれはゴルゴ13かサザエさんの波平くらいなもんだろ。
せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)! おれは常人だから度々意識が逃げるんだよなにか悪いか。まだお外は雨が降ってるのだろうか。今何時だろ。とかてめえの気持ちにフェイントかましたら見事に一発で爪から飛び出てる刺のようなものを捉えたのだヤットコで。やはり無心に近い状態は完璧なのだ。ぽたぽた焼きのおばあちゃんありがとう。したら今度は爪の刺を抜いてみようかとつんつんと用心深く引っ張ってみたら背筋に電気が走るような痛痒感が一種の快感でうはっ……とため息を漏らしてしまったのだ。つんつんいやはっ。つんつんくひっ。つんつんけはぅ。つんつんめめっ。こんなこと繰り返してると人間としてダメになりそうでチンコだって異常事態になるからぬぬぬぬぬっ、ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬっとじわりじわり刺を引っ張てみたらずるずると黄緑色の粘液と共に出てきた、蟲が。うわ。蟲。ぬらぬらとした、ゴカイとか、ミミズとか、なんだかそんな。うわ。おおよそ20いや30Cmくらい出てきたと思ったら、嗚呼、親指の付け根の手の平の玉子を一回り大きくしたような部分もせり上がってきてヤットコで掴んだ蟲と共に引っ張り出されようとしててもう痛痒感じゃなくて激痛なのだ。そんな大きなもんが爪の間から出ようとしてるんだぞ出ようとしてるんだぞ、おいおい。うわっ! うわあぁぁぁぁぁぁあっ! 親指の大きく硬い爪は弾け飛びせり上がった大きな塊は爪があった場所から粘液と共に顔をこんにちはしてそのまま勢いで引っ張り出してしまった。おれの持ってるヤットコの先には30Cmほどの蟲とその先には正しく鶏卵のごとき塊がくっついてぶらさがってるのだ。おれの左親指はお蔭でささくれだってボロボロで鈍い痛みでジンジンしてるのだがそれよりもすっきりしてるのは間違いなくてごめんね。んでもってその鶏卵状の塊の中から、おれの気が確かならばなにか音がしてるのだ。耳を澄ませて聴いてみると蚊の鳴くような声でキャーッキャーッって聞こえるぞ。おれは気持ちが悪くなって思わず床に叩きつけてしまった。したらまさしく鶏卵状のものは鶏卵のように割れて中から小人が出てきたのだ。真っ裸の女性のようでお尻からあのアバウト30Cmの蟲を引きずってキャーキャーと喚きながらおれの足下で走り回ってるのだ。よくよく目を凝らして見ると今朝会った二十代半ばだろうが髪のカットが左右長さが違うカットにしてるのにちょっと無理があるデザイン・コーディネータとかいう童顔でちょっとやらして欲しい感じのちょっとだらしない体つきの女にそっくりってかほぼ本人じゃねぇかとか思ってる間にそのちょっとやらして欲しいだらしない体つきのコーディネータそっくりの小人はトイレのドアの下の隙間から外に飛び出しておれは慌てて行方を見守るべくトイレの個室から飛び出したのだがやっぱし足首まで降ろしたズボンに足を取られて再び額を打ち付けながら小人が飛び出した路上側の窓を覗いたのだ。小人はやっぱし尻から30Cmの蟲を引きずりながら水たまりの中を駆けていったのだ。おれは思わず呟いてしまった「怪虫芸者……」と。なぜならば髪型が芸者特有の島田だったからだ。嗚呼……まだ、雨が降ってるのか。(了)