【水曜小説】 怪虫芸者Ⅶ | せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

うひょぉぉぉおおおずぐげらびんぼえええっ!


せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)! とかなんとかいくら条件反射とはいえども無駄にパンツ降ろして無駄にフルチンで便座にいるおれは左親指の爪から透けて見えるとぐろを巻いて蠢く蟲らしきものを見るたびに全身が泡立ち総毛立ちできることならできることならえーともう一回言うね、できることなら親指を根元から否それは勿体無いから第一関節のあたりからいっそのこと切り落としたいヤクザの落とし前のようにこう親指の根元を細く裂いた手拭いとかでギュギュッと縛って出刃包丁で、あ、親指は太いからなんか薪割り鉈とかヘヴィな刃物でやあっ、えいやあっ、えぇぇいやあぁぁっ! と自分でできるワケないじゃんかよう痛いよきっとクソ店員いねえのかよ店員じゃだめだなシェフがいいなあそおゆうの上手そうだもんなってか上手いに決まってるよなプロの本職だもんな。よし、もう一度厨房を覗いてみようかそうだそうだそうしよう。と思い立ったおれはヤットコを左の脇の下に挟み右手で左親指をティシュで押さえながら意を決して立ち上がりトイレの個室のドアを開けて勇敢な第一歩を踏み出したとたんに頭からコケたのだ。そりゃもう目から火花が出るってのはこうゆうことで床のタイルにしこたまぶつけた額から血も出るしおまけに鼻水も出てなぜかチンコまで出てて……あ、そうか。別にウンコするわけでもないのに便器に座ると条件反射でズボンを膝まで降ろしちまってたのをすっかり忘れてたのだ。おれは左親指を押さえたままの両手で血まみれの額を押さえながらよちよちと膝立ちになって下を見たらもちろんチンコはモロ出しのままで嗚呼……おれは四十になるってえのになにやってんだろう……と思ったら無性に悲しくなって声を押し殺して泣きながら万が一誰かがトイレにやってきて膝立ちしてチンコモロ出しの血まみれな中年が泣いてるとこを見られたらそりゃもう大騒ぎに決まってるだろ色んな意味で。おれは慌てながらもしかしよちよちと膝で歩きながら今出てきたトイレの個室に戻って鍵をかけながら号泣してしまったのだ。嗚呼、おれが一体なにをしたとゆうのだああああっ! 具体的に憎んで呪っておれの人生の不都合をすべて押し付けられる相手がいたならいいのにとかなんだか安っぽい恨み先に気がついたと思った途端に……あ、あいつらだ。今朝のディスプレイの打ち合わせにいた四十代後半にしては白髪で変な痩せ方ががん患者を思わせてワイシャツの襟が浮いてるディレクターとおれの左側には多分二十代半ばだろうが髪のカットが左右長さが違うカットにしてるのにちょっと無理があるデザイン・コーディネータとかいう童顔でちょっとやらして欲しい感じの女のあのインチキな二人だ。あのインチキでペテン師みてえな二人と遭ってからどうもおれの世の中の具合がよくねえんだよ、なんだかそんな気がしてきたぞ。くそ、呪われろへんな痩せ方したディレクター! くそ、呪われる前にちょっとヤらせろコーディネータ! おれはちょっとだらしない体つきで童顔の女が実は言っちゃうけど好きなんだよ! と出血が止まらない額を押さえたまま小声で叫んでみたら意外にすっきりしたと思った瞬間今までにない猛烈な痛痒感で全身の血液が逆流したのだ。うわ、爪の中の蟲が暴れてるぞ。