あのねぇ、せっちんさん。近所から言われちゃったんだよねぇ。前にも言ったよねぇ、庭でネコにエサあげてたからさぁ、ああ、こりゃあ近所に言われるかなぁ、と思ってねぇ。ネコにエサあげないでねって、言ったよねぇ。せっちんさんも分かりましたって言ったよねぇ。でもねぇ、また近所から言われちゃったのよ、お宅の住人、夜になると部屋にネコ入れてエサやってるようだよって。困るんだよねぇ、ネコにエサやられちゃうとさぁ。前にも言ったよねぇ、ネコにエサあげないでねって、言ったよねぇ。そりゃあね、あたしだって動物好きだし、ネコは可愛いし。でもねぇ、これから子供増えるでしょ。一時期家の屋根裏にネコが住み着いちゃってねぇ、仔猫産んで。ガサゴソうるさいし、にゃーにゃー鳴くし、臭いオシッコで天井を染みだらけにするし、まいっちゃったのよ。ねぇ、せっちんさん。駐車場の向こう側に住んでるおばさんも、あまりネコにエサやるもんだから、アパートから出てくのどーのと大家さんともめてるみたいよ。まあ、ウチはせっちんさんしか住んでないからそこまで言わないけどねぇ。だからさぁ、やめてくれる?
おれが思うには、大家のおやじは多少は黙認してたんだろーな。おれの玄関の前にはいつも4~5匹のにゃーにゃがたむろしておれの帰りを待ってるし、第一大家のくそババアは部屋に出入りしているにゃーにゃを目撃して、あからさまな嫌味を言ってきてたからな。大家のおやじにチクってねーはずはねーのだ。したらばこれからどーするか。とにかく残っているカリカリを深夜、近場の広場でついてきたいつものにゃーにゃにあげて、なくなったらもうお終いにするのだ。隣りのブロックの住宅街とか、他にも近隣ににゃーにゃにカリカリあげてるスポットがあるから、なんとかそこに行って食いつないで欲しいのだ。ああ、水はいつもの通り、メダカにやる日向水の名目で、バケツに用意しとくから飲んでくれ、にゃーにゃたちよ。ってか、ここいら下町は江戸時代の昔からにゃーにゃと共存してきた歴史が、文化があんだろ。散々ネズミとってもらってきた種族だろ。
にゃーにゃをのけ者にするとにゃーにゃに泣くぞ。そうだ、お前ら死ぬほど泣けばいーのだ。