風邪もだいぶよくなったってーか、おれの場合は最大瞬間風速的な風邪なのだ。
体がブルブルっときたらゲロゲロのウゲウゲのピロピロのハラホレで、寒いよー痛いよーママーママーおれは死ぬんじゃなかろーか。と思ったら、わりにケロッとして、そのくせ隙あらばすぐに風邪をひくのだ。
んでもって、今日などは食欲もあってそこそこ元気だから、腹が減った。
お好み焼きとか焼肉とか喰いたいのだが、いつも言ってるよーに一人だと店に入りにくい。
いや、練馬区東大泉に伝わる焼肉店一人喰いの奥義は身につけたのだが、お好み焼きは入りにくい。
お好み焼き一人お好みの奥義は江東区森下に伝わるらしいのだが、おれはその身の毛もよだつ術を垣間見ただけで、全裸のまま膝まであるちんぽを振り乱して走って逃げたのだ。
とてもじゃねーが、おれのような若輩者には一人お好みはまだまだ早いのだ。
こないだ、たまたま地元にきたダチ二人でお好み焼き店に行ったのだ。
お好みなんて、実に十年ぶりだろーか。
とりあえず、セオリー通りに最初はもんじゃで、やっぱキャベツとベビースターのもんじゃなのだ。
したらネタが真っ白なのだ。
味がついてないってーか、調味料的なものは何もなしのプレーンなのだ。
どれくらいの量のソースを投入すればいいのか分からないのだが、もんじゃの性質上、最終的に煮詰まって焦げを作るのが美味なのだから、やはりソースもやや少なめに投入しておもむろにかき混ぜ、キャベツの土手を作ったあと、一気にネタを鉄板に放置したのだ。
思惑通り、煮詰まって焦げるくらいにはちょうどいい塩梅なのだが、そのころには飽きた。
最近のもんじゃ焼きって、てめーで味付けすんのか。
したら店はキャベツだの揚げ玉だののトッピングと、粉を溶いたネタだけを提供して、あとは知らんフリなのか。
駄菓子屋のもんじゃじゃねーんだからよ、ちゃんと出汁で粉溶いてなんかてめーご自慢のソースかなんかで味付けして、あとはお好きに焼いて召し上がれ。ってーもんだろ、もんじゃ。
お好み焼きはいいのだよ、なんてったってお好み焼きなのだから、てめーで焼いててめーでひっくり返しててめーでソースを塗りたくればそれで成立する。
そーとーの素人でなけりゃ、そんなに失敗もない。
いや、失敗するやつもいるんだよ、ひっくり返すときにブツをむちゃむちゃにする輩が。
でもそれは、お好み焼きをお好む時点で通らなければならない通過儀礼なので、そこに自己責任が宿るのだ。
たまに、お好み焼きがふっくらと焼きあがるまで店員が面倒見てくれる店があるな。
あれはあれでうっとーしいのだ。
一度間違えて入ったのは上野にあるお好み店だが、各テーブルを数人の店員が教官みてーに監視して廻って、一々火の調節やらヘラでお好み本体にちょっかいだしてみたりして、ひっくり返して仕上げてくれるのだが、その仕上がりがあまりにも見事で、ソースの背景にマヨネーズとカラシが細く格子を描いて、青海苔が実に儚くトッピングされる。
やっぱり、あるてーどの自己責任で喰った方がいいな。
鉄板はレジャーなのだ。
鍋だって、あらかた喰ったあと雑炊に持ち込む前に、酔ったダチが、日本酒入れると旨いんだよー。とかのたまって、だばだば入れちまうもんだから、旨いどころか酒臭くて喰えねーじゃねーか、この外道。とかいって、オタマの柄でドタマを小突きながら、結局喰わずに店員のねーさんに嫌な顔されるのも、まあ、ご愛嬌の自己責任なのだ。
他にも焼肉に対する自己責任とか、すき焼きに対する自己責任とか、カルピスの薄め具合による自己責任とか様々あるのだが、キリがないのでこのヘンにしといてやる。
早く浅草でお好みたいのだ、自己責任で。