将来のための布石を打つべし(プロ野球の打者に例えて) | 税務調査専門の公認会計士・税理士、たけよしのブログ

税務調査専門の公認会計士・税理士、たけよしのブログ

税務調査を徹底的に研究・分析し、合理的な対応により追徴最小化を目指すブログです。「なんとなく」の対応ではなく、会計・税務・法律の知識及び経験に裏打ちされた税務調査対応をお求めの方は、小職までご連絡ください。

ご無沙汰しております、公認会計士・税理士のたけよしです。
最近は法人税の税務申告と決算締めで多忙ではありますが、そんな時期でも税務調査対応のご相談をよくいただきますね。




今回は、税務調査の対応において小職が心がけている「将来のための布石」をご紹介したいと思います。
換言すると、最終目的遂行のために肉を切らせて骨を断つような対応です。




このブログをご覧いただいた方の中に、「たけよしは、とにかく攻撃的であり、どんな状況でも税務署にベストな対応をしてくれそう」という感想を持たれる方もいます。
しかしながら、これは誤りであり、"どんな状況でも"税務署の違法調査を追及できるわけではないですし、こちらの望む処理を認めさせることができるわけではありません。




一方、調査官が気づかないうちに、意図的にそのような状況に誘導していることは事実です。
つまり、こちらの処理を認めさせるために、税務調査の過程で様々な布石を打っており、認めざるを得ないような状況に追い込もうとするのです。




最近はプロ野球が開幕して1ヶ月と少し経ちましたが、もし小職が打者であったとき、どのように振る舞うか、というようなシミュレーションを交えて解説してみたいと思います。




<毎試合2安打をクリアできるか?>


まず、毎試合2安打を打ち続けることができるか、ということを自問自答してみたいと思います。
1試合4打数であれば打率5割、5打席であれば打率4割ですが、正直小職では無理だと思います。
そして、実際のプロ野球選手に聞いてもほとんどの選手が無理だと言うと思います。

中には天性の才能を持った選手もいるかと思いますが、プロの世界でも極々一部の方でしょう。




しかし、逆に考えれば1試合1本のヒットでも良い、とも考えられないでしょうか?
1試合で3回アウトになっても、1回だけ、重要な場面でヒットを打てばヒーローですから。
そこで、小職はこう考えると思います。




・毎試合の2安打は初めから諦める。

・その代り、チャンスの場面でヒットを打てるように(打てる確率を上げられるように)布石を打つ。




数値としては、打率は低いが得点圏打率と勝利打点は高くなるような、そんなバッターを目指すというところでしょうか?
ただし、言うは簡単ですが実行は難しいのが世の常ですね。



では、具体的にどう対応していきましょうか?
時系列をあえて逆にたどって考えてみましょう。




【9回裏の4打席目】
<状況>
・ツーアウトで1点負けていて、満塁
・ヒットを打てば勝ちだが、アウトになれば終わり。
・カウントは2ボール2ストライク




一打逆転だけど絶体絶命の状況に打席が巡ってきましたが、ここでヒットを打つ確率を上げるにはどうすればよいか、ということです。
ここで「とにかくバットに当てよう」とか、「スライダーに山を張っていこう」というように、その場で何とかしようとするのでは心もとないです。


ヒットを打つ確率を上げるため、その前の段階でも努力しましょう。
小職の考える対応は以下のとおりです。




【7回裏の3打席目】
<状況>
・ワンアウトで3点勝っていて、ランナー1塁

⇒ストレートに全くタイミングを合わせず、三振する。


【5回裏の2打席目】
<状況>
・ノーアウトで同点で、ランナーなし

⇒ストレートをひっかけてショートゴロ。


【2回裏の1打席目】
<状況>
・ツーアウトで1点負けで、ランナーなし

⇒ストレートを打ち上げて外野フライ。




わかりやすくしてみましたが、前3回の打席で敢えてアウトになることです。

バッターは投手からヒットを打つのが使命なのに、なぜそうなるのか、職務放棄ではないかという意見もあるかもしれませんが、少し待ってください。

初めにも言いましたが、1試合2安打以上コンスタントに打つのは無理なんです。
代わりに、チャンスの時にきちんと結果を出すようにすればいいのです。
思考パターンとしてはこうです。



★9回の4打席で何とかヒットを打ちたい。

⇒ヒットを打つには、何の球種を投げてくるかがわかると有利。(例えば、ストレートに強いとする)

ストレートを投げさせるには、前の回まででストレートに全くタイミングが合っていないとアピールすることが肝要。

⇒それまでの3打席でストレートで凡退し、フライ⇒ゴロ⇒三振のように、悪化しているように見せる。




こうすることで、本当に力を発揮すべき9回裏で、バッテリーにこのように考えさせることができます。




・2アウトで2ボール2ストライクだから、3ボール2ストライクにはしたくない。⇒ストライクが来る。


・ストライクが取りやすく打たれにくい球を投げたい。


・前3回の打席で、ストレートには全くタイミングが合っていなかった。


・そうであるなら、多少甘くてもストライクコースにストレートを投げよう




つまり、重要な場面で、甘いところに、待ち構えているストレートを投げさせるように、前の3打席で布石を打っておくのです。
もちろん、こういった対応以外に9回にヒットを打てる確率を上げる方法は無数にあるでしょう。


何度も言いますが、4打席すべてでヒットを打つ必要はなく、ここぞの場面で打てばいいのです。
そうであるならば、たとえヒットを打ってもほとんど価値が無い場面(前3回の打席)は、ヒットを狙うのではなく4打席目のために犠牲にする方がより相手に嫌な印象を与えられます




<税務調査対応への応用>


冒頭で、「こちらの処理を認めさせるために、税務調査の過程で様々な布石を打っており、認めざるを得ないような状況に追い込む」と紹介しました。
これは「4打席目でヒットを打つために、前3打席で様々な布石を打っており、4打席目でこちらの望むボールを望むコースに投げさせる」という考え方と類似していないでしょうか?



税務調査をかみ砕いて言うと、


・最終的には、こういう結果にしたいという目標を定める。

・そのためには何が必要かを考える。


・必要と考えたものを遂行するため、今の対応を考える。


というような逆算の対応が肝要ということですね。




仕事柄、税務署が行う違法調査に頻繁にぶつかります
彼らは、今までやってきたことを当然と思ってやっており、違法行為という認識がありません。
このような場合、最終的には担当調査官の刑事告訴という手段を確保しておく必要があります。
しかしながら、言った言わないで国や公務員を相手にすると、非常に不利になります。


こういった調査官への対応ですが、こちらが初め高圧的に出て、後で少し下手に出ると、嵩にかけて厳しい調査をやってきますが、調子に乗っているときこそ違法行為をやってきます
ですから、まずは税務署にとって挑発的な行為に出る方が良いこともあります。


言った言わないでもめることがわかっているので、証拠保全(録音)は絶対に必要です。


また、違法行為の追及をするならば故意が必要ですから、調査官の故意を確定させるような質問もして回答を引き出します。(勿論録音済み)



こうやって証拠を集め、全て揃ったところで違法調査を指摘し、刑事告訴をちらつかせて「適法適切な税務調査の再実施を求める」とすれば、どんな調査官でも折れることでしょう。




何よりも、違法行為を違法行為と思わず平気で人権侵害をする調査官が悪いのですが、相手が国に守られた公務員である以上、丸腰で臨むのは無謀です。
相手が強大であることを認識し、臆することなく布石を打ち続けていくことが苦しいときには重要であると考えます。




税務調査で困ったら:税務調査の撃退法


過去、小職が対応した税務調査の実績は、記事上部左のタグの 「テーマ」 ⇒  「税務調査の実績」から確認できます。

ご意見や無料相談はこちら

たけよし:info@zeicho-shinryo.com