音響編集の苦しみ(セリフ編) | 幸せ家族計画!

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しがないいち新生児科医のプライベートなブログです。

めでたくクランクアップしたので、あとは音響編集をのこすのみとなったボイスドラマ「珍獣ロック」 ですけども、セリフ収録は声優さんの仕事を待つだけだったので、むしろこの行程が僕のメインタスクとなります。

BGMの使い方やSE収録の工夫なんかは以前にもちょっと紹介したので、今回はドラマの主軸となるセリフの編集についてご紹介します。

ネットを介したボイスドラマ作りの最大の弱点は、声優さんがスタジオに集まって一度に収録できないことにあります。声優さんが各々収録してくれた音声を、あとから切り貼りして繋げて一つの会話にするため、どうしても違和感が出てきてしまいます。演技上の食い違いはもちろん、録音環境の違いがもろに出てしまいます。音質の差、音量の差、雑音の差、部屋鳴りの差、マイクの周波数の差、マイクからの距離の差、これらをいかに均して違和感を軽減するか。これが編集のキモになってきます。

まず「ゲート」というエフェクトで雑音を除去します。これは、セリフがない部分のノイズをカットする効果で、例えば、常に「ザーッ」というノイズが入ったセリフデータがあるとすると、「ゲート」をかけることでセリフのない部分の「ザーッ」が消えて無音になります。ただしセリフがある部分の「ザーッ」は残存するので、本質的なノイズ除去にはなりません。むしろ雑音が出たり消えたりすると目立つので、逆効果になることも少なくありません。

そんなときは「イコライザー」をかけます。「イコライザー」は周波数ごとの音量を別々に調節できるエフェクトで、雑音の主成分の周波数をカットすることで、セリフのあるなしに関わらず、雑音を軽減することができます。ただし当然セリフの周波数にも影響を与えてしまうので、声質がちょっと変わってしまいます。あまり強くかけてしまうと、電話で喋っているみたいになったり、窓の外で喋っているみたいになるので、雑音が完全に消えるほどかけることは出来ません。その上、周波数に関するエフェクトは洗練された耳を必要とするので、素人の僕にはリスクを上回る効果をどこまで期待できるかという問題が生じてきます。

それから本当なら声優さんごとのセリフの音質差も「イコライザー」「コンプレッサー」などを使って均していけたらいいのですが、こればっかりは本当にプロの仕事に なってしまう(本来収録時に調節するものなので、後からエフェクトでなんとかしようとするとものすごい正確な耳と緻密な調節が必要になる)ので、下手に手を出さず、ノイズ処理にとどめます。それでも大分違和感は軽減されます。

音質のズレを補正したら、今度は各声優さんごとの音量差を埋めていきます。これが本当に大変!声優さんごとの違いはもちろん、一人の声優さんのセリフの中にもかなりの音量差があります。当たり前ながらすべての声優さんがプロ仕様の機材と環境を使用できるわけではないので、収録する日によってマイクの感度や声量、マイクからの距離が違ってきます。だから究極的には、すべてのセリフを別個で調節する必要があります。

特に今回は臨場感を重視するために、「コンプレッサー」という一括して音量差を潰して一定にするエフェクトをまったくと言っていいほど使用していないので、すべてボリュームコントロールで調節していかなければなりません。何度も聴き直して、気になる箇所を調節していく他ありません。本当に地道な作業です。

こういう作業をしていると、普段何気なく聞いているドラマやアニメなんかのセリフが、ささやきも叫びも一様にはっきりと聴こえるのはすごいと思います。

どんなに細かい演出をこだわったところで、場面やキャラによって音量が大きすぎたり小さすぎたら、あまりに聞き苦しいので、公開までの一ヶ月間、なるべく聴き返して、差を軽減していきたいと思います。