この曲は、AKB48の46thシングル「ハイテンション」のカップリング曲になります。
美しいメロディーに乗せた青春讃歌といった感じの曲です。
1番Aメロ
放課後の教室の窓際が好きなんだ
並んだ机と沈む陽の名残り
午後も遅くなった夕方、机が整然と並んでいる放課後の教室に西日が差し込む。
学生たちもほとんど出て行き、教室の中は人もまばらになっている。
そんな情景を思い浮かべると、つい郷愁を覚えてしまいますよね。
過ぎ去る時間やそこはかとないもの悲しさ、その場に漂う懐かしさや温かみが、わずか2行の内に繊細に描かれています。
1番A'メロ
誰かが置き忘れた片隅のバケツには
モップで落とした落書きの跡
午後の授業が終わって、放課後に教室の掃除をしたのでしょう。
「誰かが置き忘れた片隅のバケツ」や「モップで落とした落書きの跡」というフレーズが、ワイワイガヤガヤとふざけながら賑やかに掃除をしていた光景を思い浮かばせます。
これもまた、たわいもない青春の1コマということなのでしょう。
Aメロに描かれているような、もの悲しさを誘う静かな教室には、ほんの少し前までこうした賑やかさがあったというわけです。
1番Bメロ
今 青春のど真ん中で
生きていると
大声で心が叫んでる
「生きていると 大声で心が叫んでる」というのは、まさに快哉の叫びなのでしょう。
青春真っただ中にあって、生きていることに喜びを感じているわけです。
青春期には心身ともに急激に成長していきますから、それに伴ってできることも広がっていく。
エネルギーも充溢してきて可能性も広がってくる。
そうなると、好奇心も旺盛な時期ですから、いろいろなことに挑戦してみたくなりますし、何かに情熱を傾けてみたくもなりますよね。
そして、その気になれば思い描いたことを思い切ってやれる「若さ」を持っている。
自身の内側から湧き上がってくるそんな高揚感を、ここでは表しているのではありませんかね。
1サビ
すべてが愛おしい
すべてが美しい
キラキラ輝いてる
この時間の中で
どんな夢見ようか
どんな明日(あす)目指そうか?
希望とはいつだって
抑えきれない衝動のこと
ありとあらゆるものを肯定的に捉えていますね。
それだけ、青春という今の瞬間がとても充実していて、喜びに満ち溢れているということなのでしょう。
その上で、「どんな夢見ようか」、「どんな明日(あす)目指そうか?」というわけですから、現状に満足してそこに留まってしまおうなどとは微塵も考えていない。
さらにその先へと歩みを進めようと、未来に向けてとても意欲に満ちている。
それはつまり、あり余るエネルギーを発散させようと、自身の内側から湧き上がってくる衝動に突き動かされているからなのですよね。
そしてその抑えきれない衝動こそが、「希望」の源となっている。
理性や計算ではなく、内側から突き上がってくる止むに止まれぬ欲求や情熱が希望を形作っているというわけです。
2番Aメロ
少しだけ窓開けて 冷たい風を入れた
野球部の声がまだ聴こえて来る
1番A・A'メロからの続きの情景なのでしょう。
「少しだけ窓開けて 冷たい風を入れた」ということから、季節は晩秋か冬ということでしょうかね。
そして、窓を開けると野球部がまだ練習している声が聞こえてきたわけです。
高校野球や甲子園に代表されるように、「野球部」というのは学校の部活において、青春を象徴するような存在ですよね。
2番A'メロ
憧れの先輩が卒業したあの日に
思い切り泣いて大人になった
野球部の声を耳にして、ふと思い出したのでしょう、失恋の記憶を。
だとすると、「憧れの先輩」というのは野球部員だったのかもしれませんね。
「卒業したあの日に 思い切り泣いて」とありますから、ずっと憧れていて、その先輩が卒業する日に告白でもしたのでしょう。
けれども、その先輩から色よい返事は貰えなくて、あっけなく失恋してしまったとか……。
もしかしたら初恋にして初めての失恋だったのでしょうか。
そんなほろ苦い思い出を振り返りながら、あのとき涙を流して悲しみを乗り越えたことで自分は一歩大人に近づいた、ということを今感じ取っているのではありませんかね。
憧れていた人との別れは悲しい出来事ではありますけれども、その経験が自分を精神的に成長させてくれたわけです。
これも、青春期における通過儀礼のひとつということなのでしょう。
2番Bメロ
そんな涙も汗もみんな
一生懸命
ぶつかった心の手応え
そんな失恋の経験もしかり、何かに挑んだときや何かに熱中していたときもしかり、いずれも真剣に取り組んできたわけです。
ですから、結果が良かろうが悪かろうが、成功しようが失敗しようが、無駄になったことなど何ひとつない。
経験したことのすべてが自分の血となり肉となり、成長するための糧となっている。
2サビ
何かを求めてる
何かに手を伸ばす
それでも掴めないんだ
もどかしい毎日
熱くなりたいんだ
もっと走りたいんだ
若さとはいつだって
抑えきれない感情のこと
何かを求めても、気持ちばかりが空回りして、なかなか思うように掴み取ることができない。
もどかしいですよね。
理想を高く掲げても、厳しい現実を突きつけられて、どうすることもできずにもがき苦しむ。
それもまた青春なのかもしれません。
それでも、「熱くなりたいんだ」とか「もっと走りたいんだ」とかのフレーズに見られますように、前を向いて進み続けようとする衝動、それは何かを満たさずにはおれない飢えと言っても良いのかもしれませんが、そうしたものが心の奥から湧き上がってくるわけです。
そうした理屈を超えた衝動や情熱に突き動かされることこそが、若さというものの本質だということなのでしょう。
Cメロ
今すぐ
立ち上がろう
考えていないで行動に移そうということでしょうね。
あれこれ考えていると、迷いや躊躇いが生じてきて、なかなか動き出せなくなってしまう。
どうなるかわからないけれども、まずはやってみて、ダメだったらやり直せば良い。
いくらでもやり直せるのが若さの特権でもあるのですから。
落ちサビ
すべてが愛おしい
すべてが美しい
キラキラ輝いてる
この時間の中で
この落ちサビは1サビの前半部分の繰り返しになっていますね。
そして、続くラスサビは1サビの繰り返しになっています。
つまり、この落ちサビの4行のフレーズは、この歌詞の中に繰り返し3回表れていることになり、最も主張したいことだということになります。
「すべてが愛おしい すべてが美しい」とありますように、ここでは目に映るものすべてを肯定的に捉えています。
とはいえ、目に見えている対象がすべて誰が見ても肯定的な存在であるということではありませんよね。
あくまでもこの主人公の目には、すべてが喜ばしいものに見えているということです。
物事がどのように見えるのかは、その人の心の在り様を反映している。
ですから、青春真っただ中を生きているこの主人公の心の中は、充実感と喜びに満ち溢れているということなのでしょう。
長い人生の中のごく限られた期間に尊い輝きを放つ青春時代。
それだけに、その青春を大いに謳歌せよということを、ここでは言おうとしているのではありませんかね。
アウトロ
つぶやく
独り言
ここまで、若者の抑えきれない高揚感を描いているところがありましたけれども、最後に静かな余韻を残して終わらせていますね。
一体この主人公は、何を独り言でつぶやいたのでしょう。
直前のラスサビには「どんな夢見ようか どんな明日(あす)目指そうか?」というフレーズがあります。
つまりこの主人公は、誰に言うともなく、ほとばしる情熱をぶつける対象を求めて、次なる挑戦への決意を新たにしているということなのではありませんかね。
人は大人になっていくにつれて分別が付くようになり、理性や計算に基づいて行動するようになっていく。
言葉は悪いけれども、損得勘定や、なんならズル賢さが行動原理の大きな部分を占めるようになってくるわけでもあります。
翻って、青春期の若者はその対極にあると言っても良いのかもしれません。
この曲にあります「衝動」というキーワードで象徴されるように、内側から湧き上がってくる止むに止まれぬ情熱や感情によって突き動かされるのが、若者の純粋さということになるのでしょう。
そして、そうした止むに止まれぬ情熱や感情こそが、未来を切り開く「希望」の源泉に他ならないということを、この曲は力強く歌い上げているのではないでしょうか。
秋元康 作詞, aokado 作曲, aokado 編曲
AKB48「抑えきれない衝動」(2016年)
