今回紹介するのは…






プロ野球観戦、応援、サイン収集、それぞれが好き
■川又米利 元外野手





この川又には、俺でなく友達の体験ではあるが、興味深いエピソードがある。


昔、中日と近鉄の宿舎が近くでよく貰いに行ったという話を梨田昌孝の欄で書いたが、この頃の俺は野球だけでなくサッカー、プロレス、大相撲も観戦のほかサインを貰いに行っていた。


サインをもらう場所には大体顔見知りがいた。相撲の時、詳しい人がいてよく話を聞いた。



□□(力士)は優しくて絶対くれる。


△△はサインをしない。


○○は勝てばサインする。



などの情報である。



その中で、こんな情報を聞いた。栃天晃は、「栃天晃関サインお願いします」でなく、「サインお願いします」と行くと、必ず「俺が誰だか知ってるのか?」と聞いてきて、答えられないとサインしない、という情報。



後頭部をガツンとやられたような気がした。


当時20か21歳ぐらいの田舎者のガキだった俺は、みんながもらいに行けばその流れについて行ってもらっていた。名前のわからない人物もいたはずなのだ。


きちんと観戦し、その選手を知った上でサインを貰わないと失礼にあたる。



栃天晃の姿勢は、それを教えてくれたのだ。



さて、肝心の川又の話。


友達が中日に貰いに行った時、川又に、「俺が誰だか知ってるの?」と聞かれたいう。


「川又選手です」と答えると、ニコニコしながらしてくれたそうだ。


俺が川又に貰った時は聞かれなかった。聞かれても川又であることはわかっていたから失礼はなかったはず。



栃天晃のように毎回聞いているわけではないだろうが、川又と栃天晃は、サインを求めるファンに、ファンというものを教えてくれていたのだ。






(敬称略)