翁の残す古き逸話に残る、母子の絆をつないできた宝刀 | うろんころんしてみる隊

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うろんころん・・・って何かって?九州弁でして、標準語に解釈するとウロウロと「散策している」「徘徊している」・・・どちらでしょうかね?
傍から見ると限りなく後者に近いわたくしの、人生の糧にもならないつぶやきを書き留めて行こうと思います。

かかさまが いかなる状況にも諦めることなく 想い慕いて下さった

まごころに宿る 一念が引き寄せた唯一の証である御腰物は 

偶然といえるような 必然といえるような まるでお芝居話のように

長くはなれた母と子の互いの手をふたたび結び繋いでくれた

ひとりの人間が生きているという事実は命の根源に母がおり父がおり

その人間たちが繋いだ命の襷を破片のような小さな形に残しながらも

ただひとりの人間が生まれ生き延びるためにどれ程の手間と努力とを

重ねなければならないものかと思いはせる

 

史書に載る者も載らぬ者もこれまで一様に 生きる為に苦楽をおして

鼓動を鳴らし 食べ 排泄し 眠りにつく 命の襷にのせた無二の印

それを無意識のうちの地図として道標とたよりにしながら未来へ進む

譬えその行いが未来の人から見て「愚か」だと云われようとも

 

 

その時代を必死に生きる人間の一生に対して

どうして「愚か」だと嘲笑ができよう

同じ要素でもまったく異なるものを持ち合う

人間同士が考え尽くす折り合いの方便

されども一寸の過ちも起こさずに進むことが

君子であろうといか程に難しいことか

 

 

今は昔 この地で一生を終えたかかさまは少しでも穏やかに過ごせたろうか?

風の音と波の音 裏山で合唱する蝉たちの聲 過ぎる雲の間に蔭が生まれたり

光がこぼれ落ちたり・・誰も邪魔することのない静かな時の流れの中で互いに

歴史を語り合う 今の世も御触れごとがあるので肝心な刃は外してきたけども

この方の御姿を貴女が忘れる事はなかろうて 

この海を眺め続けた幾年のあいまには 陽が差し 夜空が輝き 風が吹いて

荒波も さざれ波も 何度も何度もひいてはよせ 心を奪いまた取りもどし

 

広大無辺の時が流れゆく大海の中に潜む小さな小さな砂粒にも満たない程の

「いま」もその砂を片手にすくったくらいの「むかしむかし」にも同じ様に

こうして波を打ちつけて そこに生きる人達と 共にあゆみ続けてきた潮の

耳朶にこだまする 優しい音は かかさまの子守唄であり そのかかさまも

抱き また あまたの人間も あまたの生きものも あまたの世に生まれた

すべてのものも隔てなく抱いた 大いなる母のなぐさめる子守唄であろうか