安田葉さんをきっかけに出会った、想像を超える人形劇
GONI PUPPET THEATRE「風の向くまま」
インドネシアから来日した GONI PUPPET THEATRE × 安田葉さんによる人形劇
『WHERE THE WIND TAKES ME ― 風の向くまま』
を観てきました。
今回この公演に足を運んだきっかけは、現代美術作家の安田葉さんです。
葉さんとの出会いは昨年。
私の個展をたまたま観に来てくださったことがきっかけでした。
今回は、その葉さんが参加される公演と知り、
「葉さんを見に行きたい」
そんな気持ちで出かけました。
「インドネシアの人形劇」と聞いて、私が最初に思い浮かべたのは、伝統的な影絵の世界。
ところが始まってみると――
想像をはるかに超える世界が広がっていました。
(ここから「人形に命が宿る」「言葉がなくても伝わるもの」「会場の狭さが生んだ一体感」「裏側が見えるのも面白い」
凧がつないだインドネシアと日本
今回、もう一つとても興味深かったのが、安田葉さんから伺った「凧」のお話です。
作品の中には、ダイヤモンド形の凧が登場します。
実はこの凧、草を使って作られているそうです。
インドネシアでは凧はとても身近な存在で、漁に使われるものもあるそうです。
そして、今でも凧を実際に作る職人さんがたくさんいるとのこと。
一方、日本では凧を専門に作る職人さんが、ほとんどいなくなってしまったそうです。
葉さんがインドネシアで活動されている背景には、このことがあると伺いました。
日本では失われつつある凧作りの技術が、インドネシアでは今も人の手によって受け継がれている。
だからこそ葉さんはインドネシアへ渡り、現地の凧職人たちと関わりながら制作を続けているのだそうです。
そして、ここで日本との意外なつながりも見えてきます。
長崎には「ハタ」と呼ばれるダイヤモンド形の凧があります。
出島があり、鎖国下でも海外との交流が続いていた長崎。
今回のお話の中では、この長崎のハタも、遠い昔にインドネシアなど南方から伝わってきた可能性があるのではないか、という話もありました。
もちろん歴史的にどこまで明らかになっているのかは分かりません。
でも、遠く離れたインドネシアと長崎に、よく似たダイヤモンド形の凧がある。
そう考えるだけでも、とてもロマンがあります。
海を越えて人が行き来し、物が運ばれ、文化や技術も伝わっていく。
もしかしたら凧も、そんな旅をしてきたのかもしれません。
「風の向くまま」
作品のタイトルは、
『WHERE THE WIND TAKES ME ― 風の向くまま』
パンフレットには、
「凧は風がなければ飛ばない。その風に身を任せることで、思いがけない場所や人に出会うことがある」
という意味の言葉が添えられていました。
この言葉を知ると、今回の舞台がまた違って見えてきます。
インドネシアの人形劇と日本の文楽。
インドネシアの凧職人と日本の現代美術作家。
影と光、音、人形、そして凧。
異なるものが出会い、一つの作品になっていました。
そして私も「風の向くまま」に
この日は最終公演だったこともあり、終演後にはたくさんの質問が出ました。
制作の裏側や凧についてのお話まで直接伺うことができ、最終公演に参加できて本当にラッキーでした。
考えてみれば、私と葉さんとの出会いも偶然です。
昨年、葉さんがたまたま私の個展を観てくださった。
そのご縁があって、今度は私が葉さんを見たくてこの公演へ。
そしてそこで、GONI PUPPET THEATREという、それまで知らなかった世界に出会いました。
風に身を任せた凧が、思いがけない場所や人に出会うように。
人との出会いも、きっとそんなものなのかもしれません。
GONI PUPPET THEATRE、そして安田葉さんのこれからのご活躍が楽しみです。
素晴らしい時間をありがとうございました。









