【青森アートの旅】電気もWi-Fiもない「ランプの宿 青荷温泉」へ。ずっと泊まってみたかった「ランプの宿 青荷温泉」へ行ってきました。
山深い森の中にたたずむ一軒宿です。
宿に到着すると、まず目に入ったのは、緑に包まれた昔ながらの建物。
玄関の前には、さりげなく花が飾られ、山の中の静かな時間が流れています。
こちらは、電気もWi-Fiもない宿です。
館内の明かりはランプだけ。
スマートフォンも思うようにつながらない環境に身を置くと、普段どれほど電気やインターネットに囲まれて暮らしているのかを、あらためて実感します。
敷地内には「ランプ小屋」がありました。
緑の木々に覆われた、年季の入った木造の小屋です。
中をのぞくと、棚にはたくさんのランプが並べられていました。
聞くと1日80個くらいのランプを使用しているそうです。
これだけの数のランプを毎日用意し、火を灯し、手入れをするのは大変なことでしょう。
幻想的なランプの光の裏側には、宿の方々の丁寧な仕事があることが分かります。
日が暮れると、館内はランプの柔らかな光に包まれます。
電灯のように部屋全体を明るく照らすのではなく、ランプの周囲だけが、ぼんやりと浮かび上がります。
暗闇があるからこそ、炎の色がこんなにも美しく見えるのでしょう。
館内には、受付です。
ランプの光に照らされた木肌が暗闇の中から浮かび上がり、昼間とはまったく違う表情を見せていました。
廊下もランプの明かりだけです。
奥まで明るく照らされないため、最初は少し心細く感じましたが、しばらくすると目も暗さに慣れてきます。
ランプの小さな炎を見ていると、心まで静かになっていきました。
夜の館内はどこか懐かしく、まるで昔の時代に迷い込んだようでした。
温泉も、青荷温泉ならではの趣があります。
木造の浴室には、長い年月を重ねてきた木のぬくもりが残っていました。
木の湯船に静かにお湯が注がれ、窓からは森の緑が見えます。
湯船に浸かって外を見ると、一面の緑。
水面にも木々が映り込み、その向こうにはランプの小さな炎が灯っています。
自然の中に、温泉とランプだけ。
とても贅沢な時間です。
明るく便利な設備がなくても、むしろ何もないからこそ、風の音や水の音、木々の揺れる気配まで感じられました。
露天風呂では、勢いよく流れ落ちるお湯の音を聞きながら、森の景色を楽しみました。
大きな釜のような湯口から注がれるお湯も印象的です。
柱に書かれた「頭ぶつけないで」という手書きの注意書きにも、どこか素朴な温かさを感じます。
女性用の「滝見の湯」の入口には、ピンク色の暖簾。
その前にもランプが灯り、温泉の入口まで絵になる風景です。
少し角度を変えると、ランプの炎と温泉の暖簾が重なって見えました。
「ランプの宿」らしい、とても印象的な光景。
湯小屋のそばには、たくさんの薪が高く積み上げられていました。
ランプの管理だけでなく、お風呂や宿を支えるためにも、昔ながらの作業が続けられているのでしょう。
夕食には、川魚や山菜など、山の宿らしい料理が並びました。
川魚の塩焼きや山菜、温かな鍋料理など、品数も豊富です。
華やかさを競う料理ではありませんが、自然の中でいただく素朴な味には、この土地ならではのおいしさがあります。
一品一品をゆっくり味わいました。
朝食は、川魚の甘露煮、卵は帆立の出汁の中に落としていただきます。ご飯、汁物、特産の山芋、山菜などが並ぶ、昔ながらの和食です。
ランプの光が映り込んだお膳も、この宿ならではの思い出になりました。
部屋には「おいしいお茶の入れ方」を説明した、手描きの案内が置かれていました。
お茶の葉の量から、お湯を一度湯飲みに入れること、急須に戻して1分ほど待つこと、濃さが同じになるよう順番に注ぐことまで、絵と英語で分かりやすく説明されています。
手描きの絵からも、宿の方の温かさが伝わってきます。
さらに、布団の敷き方も、日本語、英語、中国語、韓国語で説明されていました。
敷布団、シーツ、毛布、掛け布団、枕をどのように使うのかが、ユーモラスなイラストで描かれています。
昔ながらの宿でありながら、海外から訪れる人にも日本の生活文化を楽しんでもらおうという心遣いが感じられました。
便利なものが何もない、ランプの宿。
けれど、何もないのではありません。
ランプの炎、湯の流れる音、窓の外の緑、木造の建物のぬくもり、山の食事、そして静かな時間。
日常では見過ごしてしまうものが、ここにはたくさんありました。
電気もWi-Fiもない一夜は、不便というより、普段の生活から少し離れて心を休める時間だったように思います。
青荷温泉で過ごした夜。
暗闇の中に揺れるランプの光は、きっと忘れられない旅の記憶になることでしょう。















