【ブログアーカイブス】しゅうじが著した「トオルの告白」 | 西山夕焼け通信 1970~1979

西山夕焼け通信 1970~1979

Magazine Style Blog
Since2023・11・1
新規記事配信休止中


1970年に小学校に入学し、
1979年に中学を卒業した彼らも
すでに60代になった。
これからの人生を
西山の夕焼けのごとく
あざやかに彩るために配信していきます 

 

ブログ開設記念特別企画、

しゅうじ名作集第3弾

2012年~2013年当時のブログでは

音声ファイルを利用して、

電話で話した音を編集して流していました。

そのなかにノンピ(川崎N:2組:故人)の声が残っていました。

 

ノンピの声を聴き、

中学の頃のトオル(K林とおる)を思い出しました。

 

3年生の秋ごろだったと思います。

夏までは、私も、トオルも、クラブ活動に励んでおり、

2学期になりますと、

お互い暇になったのか、

よく遊ぶようになりました。

私の育った環境は、音楽には無縁で、

家に音響機器と言われるものは、

テレビとラジカセと、

技術家庭の授業で桂先生の指導のもと

製作したラジオぐらいしかありませんでした。

 

トオルの家で初めて

ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンを聴き、

「本場のロックというのは、何を言うてるかわからんなぁ」

「矢沢のほうが歌詞の意味がわかりやすいな!」

と当たり前の感想を持つぐらい音楽音痴でしたね。

彼の部屋には、

大きなディープ・パープルのポスターが

貼ってありました。

 

ある日、トオルの家で遊んでいると、唐突に

「俺な、ノンピか●●に告白しようと思うんや、

しゅうじ、どう思う?」

と言われ、

「こいつ乙中で三本指に入るベッピンに

告るんや、ヒエーー!」

私の心臓は高鳴っていました。

告白するという行為に賛意を求めているのか、

二者択一に対する私の意見を求めているのか、

彼女たちが好意を寄せている男子の情報を

知っているかどうかを聞きたいのか、

そのときは考えも及ばず、

「好きやったら、告白するほうがええんちゃう」

という返答しかできませんでしたね。

トオルは、

「もうちょっと考えるわ」と

言ったきり、1~2週間たち……。

 

またまた唐突に、

「しゅうじ、俺、ノンピに決めた」

と力強い告白宣言をされ、

私も身が引き締まる思いでおりました。

「決行日は、来週の〇曜日」

「6時間目が終わり、〇〇時〇〇分ごろ、

ノンピは正門から帰るはずや。

そのときに勝負や!」

トオルはあらかじめリサーチをし、

計画をたてました。

 

さぁ、決行当日、

と思いきや、ノンピの予定に狂いが生じ、

決行時間に正門に現れなかったようでした。

 

数日後、いざ、告白!

 

私が緊張した面持ちで彼に結果を聞きますと、

安堵の表情ながらも、

なにか釈然としない様子。

「断られなかったんやろ?」

と聞くと、

「うん、断られへんかったけど……」

数日後、二人で一緒に帰っている姿を見かけ、

「うまくいってるんや」

と私もつい嬉しくなりました。

彼は少しぶっきらぼうですが、

「これをやろう」と決めると、

目標に向かっていう愚直さや、

少しガンコですが、やさしいところもあり、

男らしい方でしたね。