「あぁ、覚えててくれてたんだ。
珠希、中学に入った頃くらいからそういうの言ってくれなくなったから、アタシ忘れてるのかと思ってた」
いいや、忘れていたわけじゃない。毎年ちゃんと覚えてた。なのにそれでも素直に祝ってやれなかったのは―
「小6の時、彩月の誕生日に約束をしたの覚えてるか?」
「えっ、そんなのしたっけ?」
「お前が忘れてんのかよ・・・。
そん時俺とお前は約束したんだ。『次に彩月の誕生日を祝うときは、星をプレゼントする』って」
空に瞬く星を見ては毎年毎年考えた。星をプレゼントするにはどうすればいいかを。
でも、何も思いつかなかった。このままじゃ彩月の誕生日を祝ってやることはできない。
そうして過ごしていたら、早くも4年以上経ってしまって。
「随分とメルヘンだったんだね、アタシたちって」
彩月は、あれから5回目の誕生日に行ってしまう。これ以上の延長は、ない。
2人で初冬の夜空を見上げる。
今まで俺たちを見守って来てくれた夜空。皮肉なのか、彩月が去ってしまうと分かってからは妙に星々が輝いている気がしてならない。
今日何度目かの、肌に突き刺さる肌寒い風が吹く。
「うぅ・・・寒いね、もう。
そろそろ帰ろ?」
「そうだな」
寒い風に耐えられないと言うように、彩月は足早に家路へ着こうとする。
俺はまだ動かない。
そのうちに、彩月がまだ動かない俺のことに気付き―
「どうしたの~? 置いてっちゃうよ~」
と、少し声を張り、言う。
(お前が一番淋しいだろうに、そんな風に陽気に振る舞えるなんて、すげーよ。
やっぱり俺も何か返してやりてーもんな・・・)
「なぁ、彩月!」
俺も少し声を張り、彩月に返す。
「なに?」
「お前が引っ越す明後日まで、それまでに必ず星をプレゼントしてやるっ!」
互いに少し距離を置いての、大声で話す会話。
近所迷惑極まりないこの行為。それでも決意をしたからか、清々しさの方が大きい。
彩月もそうなのか、泣いていた時とはまるで違うように笑いながら―
「待ってるぞっ! 珠希っ!!」