この作品は水彩画を本格的に始める前、日本画制作の合間に描いていた頃の一枚です。


当時はまだ絵具や水彩紙にも特別なこだわりはなく、手元にあるものを使って描いていました。


鉛筆の線をそのまま残し、色は控えめです。


今見返すと色よりも形の正確さを強く意識していたことがよく分かります。


モチーフをできるだけ正しく捉えようとする気持ちが画面全体に表れているように感じます。


この頃の私は「描くこと=形を間違えないこと」だと思っていたのかもしれません。


だからこそ線に頼り、色は補足的な存在でした。


今の制作では正確さよりも色の持つ華やかさや、画面に残る印象を大切にしています。


同じ水彩でも目指しているものはずいぶん変わりました。


こうして過去の作品を振り返ることで自分の中で何が変わり、何を選び取ってきたのかに気づかされます。


未熟さも含めて当時の自分がいたからこそ、今の表現があります。


この作品はそんな原点を思い出させてくれる一枚です。