「Magnolia」F10
以前、春のはじまりに花をつけたままのモクレンの枝をいただきました。
まだ冷たい空気の中で、枝先にふわりと開いた花は凛としていながらとてもやさしい表情をしていました。
モクレンは葉より先に花を咲かせます。
何もない枝から突然あらわれるその姿は毎年見ていても不思議で、季節が確かに次へ進んでいくことを静かに教えてくれます。
この作品では花びらの厚みや重なり、白から淡いピンク、紫へと移ろう色の変化を水彩ならではの透明感で描きました。
枝の線はできるだけシンプルに、花そのものの呼吸や余白が感じられるよう意識しています。
いただいた枝を前にただ静かに向き合い、咲いている時間の尊さをそのまま留めておきたいと思いながら描いた一枚です。
見る方それぞれの春の記憶と、そっと重なってくれたら嬉しいです。
※こちらの作品は現在、販売も行っております。
詳細はお気軽にお問い合わせください。
