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「総理、はだかですよ。」と耳打ちするする従者がいない。安倍晋三総理を取り巻く環境はそのような状況なのではないかと、私は英国から見ていて今の日本を危惧しています。

 

■習近平氏の国賓来日と中国からの渡航制限~国家と為政者のメンツ①

 

外交上デリケートな問題であることは重々承知するところですが、中国武漢市で急激に拡散した謎の感染症に対する適切な入国制限は既に世界的なパンデミックに至る今日まで、行われませんでした。

 

このブログ記事のひとつ前の記事でも触れましたが、今の安倍政権を政権与党である自民党内で支えているのは二階幹事長であり、トランプ大統領に次ぐ陛下が即位されて二人目の国賓として習近平氏をお迎えすることは二階氏の強い希望で実現されたとも言われています。

本来、米中と序列をつけるような見え方にならないように、国賓は幅広く適切に調整の上、お招きしなければならないと私は思います。

世界が米中の二大覇権に引き裂かれるような国際情勢の中で、世界で最も伝統と格式と歴史を兼ね備えた我が国の天皇陛下のお立場を十分に考慮しなければなりません。

 

新型コロナウイルスの発生という大きな事情変更に速やかに対応し、その発生源である中国からの国賓招致を中止または延期する意思決定と感染源からの渡航制限による我が国への感染防止策は今回、一対のものだったわけです。国と国のメンツ、為政者のメンツがこの判断を鈍らせ、遅らせるようなことは決してあってはならないことだったと思います。

 

■時期尚早な新型コロナウイルスの指定感染病指定~為政者のメンツ②

 

さらに、今回の新型コロナウイルス(COVID-19)の発生のメカニズムや感染防止策、予防策、治療方などがまったく確立されていないのに、これを指定感染病に指定してしまったことは時期尚早だったと私は感じています。それは感染者の82%は重症化しないということが分かっているのに、指定感染病であるがために感染者は軽症の患者であっても、法の規定によって2週間隔離しなければならなくなってしまうからです。

今後、重症化した感染患者を収容する空きベッドが足りなくなれば、そのような人たちの生命に関わる重大な二次的問題にも陥りかねません。

 

本来は、新型インフルエンザ等特措法を速やかに適用すべきでしたが、この法律が民主党政権によって制定された法律であったために、これを適用することを安倍総理自身が躊躇したのではないかと言われています。ここでも為政者のメンツが政権の判断を鈍らせたのだとすれば、憂うべき事件です。


■新型インフルエンザ等特措法が適用できない事情~為政者のメンツ③

 

そして本来、ダイアモンドプリンセス号などの船舶の検疫や公共施設などの使用制限や停止など様々な緊急対応の措置を行う権限を総理大臣、都道府県知事、市町村長に与えることによって、未知の感染症に対処する新型インフルエンザ等特措法を迅速に適用し、適正な運用を行うべきでしたが、安倍総理はこの手続きを無視して、実態の解明されていない新型コロナウイルスを指定伝染病に指定して、医療現場の手足を完全に縛ってしまいました。しかも、特措法の適用という法的、民主的な手続きも、科学的根拠を示す説明責任もすべて無視して、唐突に全国の小学校、中学校、高等学校の休校を宣言してしまったわけです。

現在、国会では新型インフルエンザ等特措法をやはり適用したいということで、安倍政権はこの法律の改正案を提案していますが、そのこと自体が安倍政権のメンツのための不要不急な法改正手続きであることは言うまでもありません。

 

■安倍政権に願うこと~判断ミスを認め、特措法の迅速で的確な運用を!

 

責任ある政権が行うべきことはまず、新型インフルエンザ等特措法の適用を与野党の党首会談で根回しすることを怠り、いきなり新型コロナウイルス感染症を特定感染病指定したことは誤りだったことを認め、ただちに特措法の適用を行いたいので、協力をお願いしたいと与野党に要請することです。

しかし安倍政権は不要不急な法律改正案の提出によって、あたかも民主党政権時に法制化された特措法に瑕疵があったかのような態度で、政権自らのメンツと判断ミスから生じた対応の遅れを正当化するような議論を国会に対して突きつけているのです。このことが、さらに問題を悪化させつつあります。

 

こんな稚拙な政権の対応が法治国家であり、民主主義国家たる日本国の政権運営かと耳を疑いたくなるような事態です。悲しいかな英国から憂わざるを得ません。即刻、安倍政権はこのような事態から立ち直り、国民の生命と財産を守る責任を果たすよう、強く要望致します。

 

ポリティカルセオリスト

瀬戸健一郎(せとけん)