※防衛省の秘密制度(4つのレベル)

 

■はじめに

 私はここ数年、米国公文書館の公開機密情報を調べてきました。日本が戦後、マッカーサーのどのような占領政策の中で復興を果たしたのか。サンフランシスコ講和条約で独立したはずの日本になぜ米軍が駐留し続けてきたのか。なぜ日本人は米軍の駐留経費を負担し続けているのか。そのような疑問から、国会図書館憲政資料室通いを続けてきました。

 妻・百合子が衆議院議員に昨秋、初当選して、外務省や防衛省の担当者から様々なレクチャーを受け、国会図書館の調査室や衆議院の調査室から提供される資料を基に、少しずつ、この国の課題が具体的に見えてきました。

 今日は、今騒がれている自衛隊の日報問題を切り口に、日本政府がどのように情報を扱ってきたのか、どのように管理し、どのように公開、非公開を判断し、どのように書類の保管、廃棄を決めてきたのか、誰がどのようなレベルの情報にアクセスできる権限を与えられているのか。そもそも行政情報や行政文書がどのようにレベル分けされているのかについて、ブログ記事を起こしてみました。

 この文書は、私が山川百合子の国政報告のコラムとして書いたものなので、文字数に制限がありますが、ざっくりと問題の中核に触れていますので、ブログ記事としても公開することにしました。私なりの結論は、「行政情報は国民の財産である。」、「行政文書は歴史の証人である。」、「国家機密であろうと、非公開年限を過ぎたものは公開すべきである。」という視点です。

 どうぞ、お読み頂き、共にこの国の進むべき道を考えていきたいと思います。そしてご意見があれば、コメント、もしくはメッセージをお寄せ下さい。よろしくお願い申し上げます。

【以下、コラム本体】--------------------------------

 

セキュリティ・クリアランスとイラク日報問題を考える

~防衛省の情報管理システムについて~

 

 防衛省の秘密制度は、特定秘密保護法を根拠に4つの秘密区分に分けられています。①特定秘密、②特別防衛秘密、③省秘、④注意又は部内限りの順番に指定され、秘密をそれぞれに指定する根拠、漏洩した場合の罰則、その情報にアクセスできる対象者が決められています。

 このように情報自体を区分して管理することと、その情報にアクセスすることが出来る対象者の適正評価、情報公開制度上の開示、不開示の判断基準を組み合わせた秘密保全制度をセキュリティ・クリアランスと呼んでいます。

 南スーダン日報問題を契機に、昨年8月から陸幕、海幕、空幕管理だった日報データは統合幕僚監部(統幕)で10年間保管され、その後に国立公文書館に移されて永久保存されることになりました。

 実はPKO派遣などの現地部隊からの日報は、上記の①~④の内、最も軽い④の「注意」に指定されていた文書で、「当該事務に関与する防衛省職員」ならばアクセスも可能、一定期間を過ぎると廃棄も可能とされていた情報でした。

 憲法第9条の平和主義を守りながら、若き自衛官を海外派遣するのであれば、その現地情報が永久保存の対象にならない理屈は通らないと思います。

 米国では、セキュリティ・クリアランスを守らなければ、最悪死刑判決もあり得る厳しい制度である一方、国家の機密でさえも国民の財産であるとの考え方から、すべての情報が保管され、年限が過ぎれば、開示されます。

 情報は国民の財産である。情報文書は歴史の証人である。日本でも、もっと真剣にこの国の公権力が時代の変遷の中で、何をしてきたのかに国民的な関心を向けていかなければならないのではないでしょうか。(文責:せとけん)

 

以上

 

瀬戸健一郎(せとけん)

Kenichiro Seto (Setoken)