アベノミクス失敗の理由(わけ)~深刻な格差拡大 | せとけん公式ブログ『 #ピースメーカーズ 』from 瀬戸健一郎 Powered by Ameba

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アベノミクスの成果をアピールするために政府与党が並べ立てる数値を注意深く読み解いていく能力が私たち有権者に問われているのではないかと痛感します。例えば、110万人の雇用を生み出したという雇用の中身の内、実に90万人が65歳以上の非正規雇用であるといった実態を読み取ることは実に難解です。

■生産性の向上を伴わない経済成長はないが・・・

企業の収益率を視座に経済を眺めると、収益性向上には次の二つの要因が考えられます。

1.売上げ高の上昇による収益率の向上
2.リストラによる収益率の向上

昨年の労働法制の改正で、企業は派遣社員を3年ごとにローリングすることによって、事実上、派遣労働者を正規雇用することなく、非正規雇用のまま人材確保できるようになりました。日本社会が戦後復興~高度経済成長期を経て、世界一裕福な総中流社会を実現する礎となってきた終身雇用制度が終わり、企業が企業の都合で、その都度、必要な人材を確保し、リストラすることが可能な雇用環境が固定化していくことになりました。

アベノミクスによって、実態経済が生産性を向上させて成長したというよりも、リストラによって、収益性が向上したために、株価が回復しているという側面を見落としてはならないと思います。

つまり、経済成長の果実を労働者である国民があまねく享受しているのか、成長の果実が実は、労働者の雇用環境の後退によって生み出されているのかが、国民の豊かさや幸福度を左右する重要な視座であることを忘れてはならないと思います。

■深刻な格差問題(1)~雇用条件の格差

昨年の労働法制の改正による非正規雇用の常態化によって、非正規雇用という雇用形態で働く労働者は既に雇用全体の40%を超えているのに、さらにこれが拡大していくことが想定されます。有効求人倍率が1を超えたと言っても、正規雇用を望んでいるのに、非正規雇用しか働き口がないという実態を無視した主張だと思われますし、優秀な人材を確保し続ける必要性から、正規雇用の枠が無くなるわけではないまでも、同一労働同一賃金と括られるような仕事はまずます非正規雇用分野で拡大していくでしょう。

このような雇用条件の格差がもたらす深刻な問題は、固定化された非正規雇用市場で就労する人材にとっての生涯設計が立たなくなる危険性を孕んでいるという点です。

例えば、非正規雇用で働く若者は、派遣会社に所属し続けている限り3年ごとに派遣先企業が変わるかもしれませんし、正規雇用に切り替えてもらえる保障がないばかりか、いつでもリストラの対象になりえる不安定な雇用条件に居ることになるので、正規雇用ならば若い内に組めるはずの35年間もの長期住宅ローンを組むことが出来ません。

■深刻な格差問題(2)~賃金の格差

労働者が働いて稼げる賃金にも大きな格差と不平等が生じています。かつて国民の税金の多くが投じられた道路や水路を建設し、橋を架け、鉄道を敷き、ダムを造り、上下水道などのインフラを整備する土木建設事業の現場で働く人々の日当は決して平均的な賃金よりも低くはありませんでした。

しかし、現代社会において国民の税金の多くが投じられている社会福祉分野で働く人々の賃金は、必ずしも十分に保障されてはいません。特に保育士や介護士の平均給与は、全業種の平均給与と比べて月当たり約11万円も低いことが分かっています。

多くの国民がより豊かな生活や自己実現を求めて幸福を追求することができる社会は素晴らしい社会だと思います。しかし、そのために保育の必要な自分自身の子どもや介護が必要な自分自身の親を社会福祉に委ねる時に、その担い手となる保育士や介護士といった人々の使命感や善意に甘えて、そのような人々の処遇を十分に保障することを忘れた社会にはやがて、深刻な格差問題が表面化してくることになるのではないかと私は思います。

職種によって、ある程度の賃金格差があることは自由主義経済、資本主義経済の体制ではあり得ることであり、だからこそ個人の職業選択の自由や競争原理が生きがいの要因にもなりえるわけで、そのことをここで問題視するつもりはありません。

しかし、社会保障や福祉分野に奉職する人々の賃金が大きく他の業種業態で働く人々の賃金とくらべて低く、格差が現状のように大きくなっていることは問題視する必要があると思います。

■アベノミクス失敗の理由(1)~第1の矢「金融緩和」の失敗

アベノミクス第1の矢「金融緩和」がうまく機能しない原因のひとつが、上述の「雇用条件の格差」であることを指摘しておきたいと思います。

マイナス金利を導入してまで、金融緩和を推進しても、市場にあふれた低利の資金が有効に活用されないのは、端的に言えば「借り手」が居ないという現実です。本来ならば、低利の資金が市場にだぶついているのですから、企業が設備投資を行って、例えば工場の生産ラインを強化して生産性を上げ、企業の売り上げを上げることで収益を増やしていくという好循環を生まなければなりません。

しかし、バブル期にすでに必要以上の設備投資が行われていて、生産ラインの生産力よりも遥かに低い生産量の需要しかない冷え込んだ景気実態では、新規設備投資の必要がありません。

景気回復にもっとも有効な低利の資金の受け皿となるのが、住宅需要なのですが、これも非正規雇用の拡大と常態化によって、借り手が能力的に借り出すことができない状況です。

もしも、住宅需要が喚起されれば、新規住宅建設によって、戸建て住宅や分譲マンションが売り上げを伸ばし、これに伴う家電品や家具などの住宅必需品の売り上げも伸びて、もともとすそ野の広い住宅産業が大きな景気浮揚効果を生み、内需拡大を実現して、日本経済の実態を成長させる効果を生み出すはずです。

実態は、低利の住宅ローンを利用する多くの人々は中古物件を含む新規住宅購入者ではなく、借り換えローンの利用者であったりしますので、このことは実際の経済成長には何の影響も及ぼしません。そればかりか、低利のローンに切り替えられてしまった金融機関は利息による収益を減らすことにもなってしまうので、アベノミクスの金融緩和は完全に失敗していると私は思います。

■アベノミクス失敗の理由(2)~第2の矢「財政出動」の失敗

アベノミクス第2の矢「財政出動」がうまく機能しない原因のひとつが、上述の「賃金の格差」であることを指摘しておきたいと思います。

安倍政権のいう「一億総活躍社会」とは、民進党が民主党政権時代に掲げた「ニッポン―一億総活躍プラン」がその源流にあります。もともと勤勉な国民性を誇る日本人一億人が創り出す経済活動の果実が、きちんと日本国内で循環していれば、内需の豊かな経済社会を日本国は維持していけたはずです。

しかし、小泉内閣が行った郵政の分割民営化は例えば、日本国民の虎の子の預金であった郵便貯金の資金をアメリカ国債の購入資金に変え、それまで財政投融資の資金として、主に国内の地方自治体がインフラを整備するための資金として活用し、運用してきた、いわば国内でのみ回していた資金を海外に流出させるきっかけを作りました。

しかも、かつて土建国家と揶揄された日本の財政出動の支出によって行われた土木建設事業の現場で働く人々の給与水準は比較的高く保障されていたので、財政出動によってその事業に従事する一人ひとりの労働者にも十分に財政投資の果実が回り、これが個人消費を喚起し、景気浮揚効果を生み、内需拡大を果たして日本経済を成長させる原資となっていました。

現在、財政支出の多くは建設費から民生費(社会福祉費)に比重が移行してきましたが、それら社会福祉分野で働く人々の給与水準は全業種業態の平均給与よりもかなり低い実態なので、財政出動が事業に従事する一人一人の労働者に十分に行き渡らず、個人消費を喚起することにも繋がらないので、景気浮揚効果も生まず、内需も拡大できず、実質的な経済成長に結びつかないといったスパイラルに陥ってしまっています。アベノミクスの財政出動が完全に失敗しているばかりでなく、一億総活躍社会と言いながら、その果実を国内で還元するのではなく、アメリカ合衆国に貢ぐ形で、海外に流出させてしまっている現状だと私は怒りさえ覚えます。

■アベノミクス失敗の理由(3)~第3の矢「成長戦略」(規制緩和&構造改革)

アベノミクス第3の矢「成長戦略」(規制緩和&構造改革)がうまく機能しない原因はずばり、ビジョンの欠如であることを指摘しておきたいと思います。

政権基盤を守るために、社会の既得権益に切り込むことができないのが自民党の最大の弱点です。例えば、脱原発を明確に政権ビジョンとして掲げて「新エネルギー」分野の研究開発費に国家予算を投じるなどのビジョンが出せません。これは日本が知的所有権に対する認識が甘く、アメリカに多くの研究開発を依存してきた現状にも切り込んでいく必要があると考えます。

例えば、ノーベル賞を受賞した日本人のほとんどが、アメリカの研究機関で成果を上げた人々であることを考えれば、その知的財産はアメリカ合衆国に存し、その研究者がたまたま日本人だったという実態をシニカルに述べるのではなく、事実として認識する必要があると思うのです。

さらに、危険を冒して中東に石油を買いに行きますが、なぜ日本国はロシアと共同でシベリアの油田開発に乗り出さないのでしょうか。これも日本人が信じるところの世界で最重要な日米関係に操を立ててのことのように私は思います。

TPPによって、アメリカの保険商品が日本市場に進出しようとする時、日本の皆保険制度や年金制度がISD条項によって提訴される危険性が指摘されていますが、なぜ日本国は日本国の優れた社会保障制度を日本国の経済構造の中にしっかりと組み入れ、位置づけようとしないのでしょうか。

これまで私たち日本人は、社会福祉や社会保障分野は単純に日本国の財政規律を圧迫し、プライマリーバランスを壊す要因だと考えてきたような気がしますが、そのような経済分野で働く人々の処遇改善をすることでも個人消費が喚起され、内需が広がり、経済成長が果たせるとは考えられないのでしょうか。

確かに北欧諸国のように高福祉高負担の福祉国家を標ぼうすることにはまだまだ抵抗感が強いことは理解できますが、それは敗戦から復興し、高度経済成長を味わった世代のDNAが現代社会に生きる中高年に残っているからであって、現実にこれからの将来を見つめれば、そのような倍々ゲームのような経済成長はあり得ないわけですから、一億人の経済活動の果実はなるべく流出させないように内需に取り込み、一億人が一億人の経済活動の果実を享受し続けることのできる社会構造への転換こそをビジョンとして構築していくべきなのではないでしょうか。

そういう意味で、英国のEUからの分離独立の決定にしても、アメリカ合衆国でトランプ氏が躍進している現実にしても、世界中がある種のナショナリズムへの回帰を標ぼうしているのが時代のトレンドだと見ることができるのではないでしょうか。

日本人が日本人の総力で日本国の国力を高め、将来への投資をし、既得権益や日米関係のある種の呪縛から解放されるビジョン。一言でいえば、「格差をなくし、社会保障を充実させる。」といった国家戦略に立った成長分野の開拓を成し遂げていくことが不可欠だと私は痛感しています。

■今回の参院選挙は日本の将来選択の大きな分岐点だ

私は今回の参院選挙は、日本が独立自尊。アメリカ合衆国と真の「等身大の日米関係」を構築していく大きな分岐点となる選挙だと考えています。小泉構造改革と郵政民営化によって得をしたのはアメリカ合衆国でした。安倍政権においては、TPPと安保法制によってアメリカ占領71年目を迎えようとしているわけです。

アメリカ合衆国の本音は、日本をアメリカの51州目として迎えるのではなく、事実上、アメリカ合衆国の属国として統治下に置くこと。1億人もの人口を抱える日本国がアメリカ合衆国の51州目ともなれば、日本人の大統領が生まれてしまうかもしれませんからね。

さらに、日本国には日本国の平和憲法を維持していて欲しいというのもアメリカ合衆国の本音だと思います。来年の1月に就任する大統領が決断を迫られるのが、ISを壊滅させるためのシリアへの掃討作戦の大統領令の発令です。その時に、国際世論の反発をかわすのに必要な既に打った方策。それが昨年の安保法制です。「平和憲法を奉ずる日本国がアメリカ軍と行動を共にしている。」という方便がアメリカ合衆国にとって不可欠なのです。

しかし、アメリカ軍の掃討作戦の兵站を自衛隊が担ったとたんに、日本国はイスラム社会の敵に回る危険性を覚悟しなくてはならないでしょう。東京の地下鉄に安心して乗れなくなるかもしれないという危機意識を私たち日本人は持つべきです。

杉原千畝がユダヤ教徒たちを命のビザで救い、オスマントルコの軍艦が和歌山沖で座礁した時には、現地の住民が命がけでイスラム教徒たちを救いました。彼らは白人社会である欧米列強諸国からある意味、人種差別を受けてきたわけですが、日本人は彼らを差別しませんでした。

日本人が日本国が歩んできた歴史は、それなりに意義深いのだと思います。中国人や朝鮮人を差別した歴史もあったかもしれませんが、アジア諸国に近代的なインフラを整備し、欧米列強によって植民地化されていた多くの民族を勇気づけ、その後の民族自決権を大きく躍進させたことは事実なのではないでしょうか。

私たち日本人は反省すべきところは反省し、しかし同時に健全なセルフイメージを回復することによって、アメリカに媚びるのではなく、毅然と国家の安寧と世界平和に貢献する独自の道を踏み出していく覚悟を今こそ、決める時なのではないかと私は感じています。

皆さんが、ともに考え、ともに悩み、ともに観えないものを観る。そんな政治対話や憲法対話をこれからもし続けて下されれば、この上もない喜びです。

最後まで、長いブログ記事を読んで下さって、ありがとうございました。

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瀬戸健一郎(せとけん)
Ken.ichiro Seto (SETOKEN)