※演説ビデオ:「等身大の日米関係をつくる」


質問:

あるサイトで、「クリスチャン政治家として、せとけんさんがもし、首相だったら、中東情勢に対して、どのように対応しますか?」という趣旨のご質問を頂きました。~取り急ぎの返信コメントは以下の通りです。

回答:

私が首相だったらですね?今回の安保法制を強行採決するほどの切迫感を本当に感じていたとしたら、周辺事態法も整備して、日本国の主権と日本国民の命と安全を確保するための実力行使を具体的に可能にする法律も少なくともセットで提案したでしょう。そして、日本の有事に米軍にも参戦させる。

もっとも、その前に全国民的な憲法対話を呼びかけます。立憲政治の根源ですから。

■想定されるアメリカ軍によるイスラム国への掃討作戦

アメリカがISに対する掃討作戦~これは対テロ戦争=ゲリラ戦に対応するには不可欠な"Boots On the Ground"(上陸作戦)~を展開する時に、平和憲法を奉じる日本国がアメリカ軍と共に戦っているのだというアメリカ合衆国の戦争を正当化する方便として、その兵站を日本の自衛隊が担うことに道を開くために安倍総理は安保法制を日本国民にきちんと説明しないまま強行採決。日本国の有事の際にも当然、同様にアメリカ軍が自衛隊の兵站を担ってもらうことが想定されてはじめて集団的自衛権と言えるのであるあって、それによって、両国の対等性が最低限度、確保することが出来るはずですが、実態は違う。

■想定されていない日本国の自衛のための武力行使

そもそも、今回の安保法制には日本国が日本国の領土領海領空への侵犯に対して純粋に自衛のための実力(武力)行使を行うことが想定されていませんから、日本国が他国に対する戦闘状態に入ることは前提になってすらいない。従って、日本の自衛隊がアメリカの戦争に巻き込まれることがあっても、日本の戦争にアメリカが巻き込まれるリスクはきちんと回避されているのです。

■アメリカ軍の前方展開と「日本を守るため」という幻想

日米安保条約によって、日本国の主権が脅かされる時に、アメリカが助けに来てくれるというのは実は幻想なのであって、アメリカは抑止と前方展開を主軸とした独自の安全保障の考え方を持っている国だということを忘れてはなりません。あくまでアメリカ合衆国が日本国内に70箇所もの軍関係施設を維持しているのは、日本を守るためなのではなくて、自国の安全保障と国益が目的なのであって、そのような海外防衛ラインを引くことを前方展開と言うのです。私たち日本人は、そんな側面を見落としてはならないと思います。

■安倍内閣の追米姿勢と憲法改正志向は両刃の剣

アメリカの本音は、意外に思われるかもしれませんが、むしろ日本が平和憲法を作り変えてしまうことは阻止したいということではないでしょうか。来年、新しい大統領が就任すれば、すぐにでも大統領令の発動が新大統領には求められます。IS(シリア)への掃討作戦です。その時に、日本が平和憲法を奉じる国であることが大事なのです。安倍政権の行き過ぎた追米姿勢はアメリカ合衆国にとっては両刃の剣だというのが現実なのではないでしょうか。

■憲法対話と日本国民1億人の総資産流出抑制の必要性

今こそ、本格的な全国民レベルの憲法対話をはじめる。日本国の戦後経済は言わば鎖国状態にあったようなものです。例えば、国民が郵貯に預けている虎の子の資産は、すべて財政投融資として、国内で回っていたからです。しかし、小泉郵政改革以降、日本国民1億人の資産も1億人の経済活動の果実も、今や国外、特にアメリカ国債を引き受けるために海外に流出し、消えてしまっているという現実を日本人はもっと注意深く監視すべきです。

■日本国民の税金、資産、労働の果実が抜き取られていく

1億人もの日本国民の税金と資産と労働の果実がこんなに狭い国土に蓄積され、循環されてきた。日本国民1億人の経済的な果実が国内で循環していたからこそ、個人消費が内需を拡大させ、日本経済は順調に成長を続けてこれたのです。しかし今やこれが、外(アメリカ)からスポイトで抜き取られていく。醒めよ、日本人!

■保守合同=自民党の誕生とマッカーサーの占領政策

1955年に自由党と民主党が合併して出来た自由民主党(自民党)の根っこには、GHQ(マッカーサー)の占領政策があり、これが芽を出し、育って、ようやく実をつけたのが今日の日本。ここから収穫するのはアメリカにとって当然の権利だという理屈が見えてくる。

TPPで今後、破たんする年金制度や皆保険制度の隙間に世界市場を相手にするアメリカ資本の保険会社=リスク分散型が入り込み、そのような金融商品がさらに、日本国民の潜在的経済力を抜き取っていく。いや、彼らの保険商品が売れなければ、ISD条項によって、日本の皆保険制度や年金制度が提訴される危険さえ、指摘されているではないか。甘利大臣は何を裏取引したのだろう。

■戦争の経済学とメカニズム~冷戦から対テロ戦争まで

軍事産業に消える国民の税や資産は確かに、もともと裾野の広い軍需産業を通じてアメリカ経済を潤し、国民経済にも還流してきたかもしれないが、相手がISなどのテロ組織であれば、勝利して賠償金を回収する見込みも立たないければ、利権を拡大することもできない。

冷戦時代に対ソ戦略でアルカイダを組織したアメリカが、冷戦が終わり、自分たちが使い捨てにした武装集団の反撃を受けているわけだから、安易にこれに日本が関わるべきだろうかとも思う。いずれにしても、戦争で潤うのは武器弾薬を供給する軍需産業だけであり、様々な形で日本がそのツケを払わされようとしているわけです。

■平和主義とデモクラシー~武力によらない平和をつくる

国民の税や資産をどのように戦争ではなく、世界平和に還元していくことが出来るのか。世界中の国と地域に個人の基本的人権が最大限に尊重される本物のデモクラシーがいかに拡散できるのか。

平和主義と立憲政治を普遍の理念として、日本国の国策や外交を立て上げていくためにこそ、国民の英知を結集していくべきだと私は考える。また、そのような政策決定プロセスをまず立ち上げることに、もしも私が首相ならば、心血を注ぐことでしょう。

■中東問題の真の仲裁者と成り得るニッポン

クリスチャンとしては、特に中東問題の和解と和平に、彼らの歴史的民族的宗教的文化的なコンテクストの外に居る日本国として、最も公正平等な仲裁が果たせるものと信じています。このことについては、過去ログ「イスラム国の人質事件に思う~アメリカの外交政策とパレスチナ問題の本質」も、合わせてお読み頂けると幸いです。。

まだまだ申し上げきれませんが、とりあえず、そんなところでアップさせて頂きます。

今後とも、ご指導ください。

瀬戸健一郎(せとけん)
Kenichiro Seto

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