$草加市議会議員 瀬戸健一郎 オフィシャルブログ「だれもが幸せなまちをつくろう!」Powered by Ameba-setokenichiro51-s

政治とは何か?人々の日常的な要求要望に対して応えていくことも立派な政治家の仕事である。特定の利益団体の利益誘導を目的とした政治もある。本論で論じようとする政治はこれらを含んだ大局的観点としての政治である。これらを小政治、大政治と区別することもあり、政治屋(せいじや)と政治家(せいじか)、もしくはPoliticiansとStatesmenと政治家を区別することもある。長きに亘り、日本のデモクラシーは大きな利益団体、市民団体、業界団体、企業などが対象であり、国民一人一人はあまり丁寧に扱われてこなかったように感じる。マスプロダクション、マスメディア、マスゲーム、マスプロ教育など、マス(mass)という言葉には大きく投網を掛けたような印象がある。「個」にもっと重点をおきつつ、日本の伝統・文化・風土にかなった日本型のデモクラシーをめざして、今日は1日、久々にロダンタイム(考える人という意味で私の友人たちが私の時間をそう呼ぶ)してみた。


■政治とは何か?政治家の使命とは何か?

地球の生命を守ること。人類の歴史を動かすこと。日本国の未来を選択すること。人々の幸福を実現すること。あなたの幸せに資すること。私自身の人生を輝かせること。
~政治とはそのような働きのことである。

毎日の雑踏の中で見失われがちなこれらの価値を常に再創作し続ける。時代の変化に適応しながら、普遍的な価値として尊重する。地球の、人類の、日本国の、そして一人一人の国民が直面している、様々な問題の本質を浮き彫りにし、伝える。その解決のための政策やビジョンを人々に、社会にフィードバックしていくこと。
~政治家とはそのような働きを使命とする。

ところが現実の政治は違う。イデオロギーの対立の構造は米ソ冷戦の終結と共に無くなり、資本主義経済とマネーゲームが地球も、人類も、日本国も、個人である人々の生活でさえも、呑み込んでしまっている。

政治も地球規模の貨幣経済における単なるパワーゲームにすぎないのだろうか?

Already, Always~「既に、いつものやり方」を手放すことができないまま、多くの社会制度が人々の時代のニーズに合わなくなってしまった。本来、社会の実態に合わなくなった制度を見直し更新するために、法律を作り変えていくことこそが、立法権力たる議会=政治の役割なのだ。

政治も政治家たちも機能不全といっていい状況のまま閉塞している。

フランスの政治学者トクヴィルの言葉、「地方自治はデモクラシーの小学校である。」を胸に刻んで、私は今日まで市議会議員として働いてきた。欧米のデモクラシーがそうであったように日本国民は、このデモクラシーという理念のために革命を起こしたことがない。

だからこそ、日本型のデモクラシーを確立させる。

このことが私の使命だと自負してこれまでやってきた。「政策提言型の議会」をつくり、「政策主導の対話型の政治」を標榜し、議事録の検索システムの導入や本会議ビデオ中継を実現させるなど、「議会のIT化」を進めてきたのも、「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」を制定したことも、すべて日本型デモクラシーを喚起する、その目的のためであった。

だれもが幸せなまち

これが政治家のめざすべき究極の使命だろうと、今も私は確信している。だからこそ、この言葉を草加市の自治基本条例前文の中に明記させていただいた。

これまでもそうであったように、社会が抱える様々な問題の本質はまず、地方の地域にあらわれる。介護保険制度が国会で議論されている最中にも手を差し伸べなければならないお年寄りは既に目の前に大勢おられた。

一度、法によって定められた社会制度はなかなか見直すことが難しいとされてきたが、そのことによって永きに亘って先送りされてきた問題はとても一朝一夕には解決しない。

この20年余の私の議員としての活動を振り返ってみても、自分を最初から支援してくれた同世代の仲間たちは子育てに追われていた。いわゆる核家族化や共働きが既に当たり前の時代であったために、保育園や学童保育など、子育てに関わる施策は私にとって最重要な課題であった。

ところが、当時の先輩議員たちにとってそれは、共産党や社会党の問題だと受け取られていて、なかなか保育園や学童保育の問題に積極的に関わろうとはしなかった。

そこにも時代の変化、世代間のギャップに政治が十分に対応しきれない現実があった。

常に右肩上がりで財政規模が拡大していく時代。高度経済成長期のなごりはバブル経済の崩壊まで続き、国家の経営にあたっていた官僚も政治家たちもしばらく、バブルの余韻に浸っていたとさえ回想される。

バブルの時代というのは、草加市議会においてもその時代を経験していない世代が議員となっている現状においてはもはや、伝説であるかのようにさえ思われるが、いわゆる裕福な家庭も貧困家庭も、門戸を問わず大多数の日本国民が実態のない好景気に踊らされ、その恩恵に浴していたような時代だった。まさに熱狂的な時代だった。

そんな時代には、今のようなニートと呼ばれる価値観はなく、大企業も中小企業も終身雇用で有能な人材をどんどん抱え込むことが未来への有効な投資手段だと考えていた。大学新卒の初ボーナスが200万円というニュースに花が咲いた。

あれから20年。

■山積する政治課題~生活保護から政党政治の崩壊まで。

あの頃、生活保護を受けることには受給者にとって相当の抵抗感があり、生活保護を受ける位ならば食事さえ我慢するといった人々の価値観も、終身雇用制度が崩壊し、企業のリストラの嵐が吹き乱れる現代においては、国民が受けるべき当然の権利であるかのような価値観へと変わった。

いまや草加市人口24万人都市にあって生活保護受給世帯は2,429世帯。受給者人口は3,231人。そのための経費(扶助費)は5,413,384,000円(6月末執行済額は、1,164,526,899円で、執行率は21.5%)で、これは実に草加市の歳出予算総額67,972,000,000円の実に 7.9%を占めている。この受給者の社会復帰を含めて相談業務にあたるケースワーカーの数は昨年度16名体制であったものが、これは不十分であったため、本年度は18名に増員。来年度もさらに増員することが既に議会で答弁されている。

昨今、社会問題化してきた生活保護の不正受給問題を調べていくと、生活保護受給の手引きを指南する組織の存在が見え隠れしてくる。足立区議会が不正受給者を調査する特別委員会を設置しただけで、約2割の受給者が受給打ち切りを申し出たという話さえ聞く。本当に困っている人々に手を差し伸べることが必要なのであるが、これを悪用しようとするモラルハザードが深刻化してきているのは悲しい現実だ。

このままでは日本国の財政は国政も地方自治も共に破たんしてしまうだろう。

日本人の心の根底から歴史的・伝統的な美徳や価値観が失われかけている。終身雇用制度や勤勉な国民性に止まらず、家族制度も崩壊しつつあるのだろうか?

夫婦別姓問題や外国人参政権問題も、税と社会保障の一体改革と並ぶ日本国の国体を左右する大きな政治課題である。さらにTPPや安全保障など国際情勢と深く関わるこれらの問題についても日本国の政治課題である。この20年、世界のグローバル化は著しく変化してきた。IT化がこれをさらに加速させつつある。日本は内外に大きな問題を抱えている。

政治的には政党政治が大きく揺らぎ始めているように感じる。

イデオロギーの時代の終焉は、同時に政党政治の終わりをも意味していたのかもしれない。しかし既存のイデオロギーや政党に代わる政治の原動力となりえる支柱は失われたままだ。

デモス・クラティア(民衆による統治)=デモクラシーの原点回帰こそが求められている。

混沌とした現状を単純化して劇場化するパフォーマンス指向の政治を手放し、様々な課題を様々な視点から、建設的に一つ一つ議論していく地道な作業をみんなで始める。そのことが必要なのではないかと思う。そのために必要なのは、あらゆる人々の感情や言葉の行間を読み、それらを深く思考し、ビジョンと方向性を示すことのできる冷静で誠実なリーダーの存在だ。そのような誠の政治家が日本国には必要なのではないだろうか。またそのような政治家を国民は選択していく必要がある。

与野党を問わず、そのような傑出したリーダーたちが相集い、力を合わせて、この国を立て直していくために国民世論をリードしていかなければならないと思う。

デモス・クラティア(民衆による統治)=デモクラシーの原点回帰。

どんなに有能な政治的リーダーが存在しようとも、この国の未来を創りなおしていく原動力は日本国民の総力である。デモス・クラティア(民衆による統治)=デモクラシーをみんなで実践していきたい。

私が今、考えているのはそんな20年来の「夢」(dream)である。

とりとめのない、ポイントの分かりにくい、文章を弄した。しかし私の思考をあるがまま文字として展開してみることとした次第である。読者のみなさまに共に考えて頂けたら、これを機会に私との対話を始めて頂けたら、幸いの極み。

「だれもが幸せなまち」をつくる―日本を変える。そのために!

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor

(プロフィール)
米国ベルエア高校卒、都立荻窪高校卒、英国国立エセックス大学政治学部留学、獨協大学法学部卒、日本政治総合研究所元事務局長、草加市議会議員(6期目)、公益財団法人YFU日本国際交流財団顧問、イングリッシュスクエア草加校校長、英語講師、英検面接委員~学問と人脈を活かし、日本型デモクラシーを発展させるため、幅広い活動を展開している。