Ken Seto's ameblo by 瀬戸健一郎@草加市-瀬戸健一郎2010.2
※埼玉県政史上はじめてとなった市長不信任可決。木下博信市長はこれを受け入れず、議会を解散。


■市長は有罪助役に対し、謝罪と復職依頼?

7月29日の定例記者会見で、木下博信市長は、平成17年に市発注の公共工事をめぐる収賄容疑で有罪が確定(懲役2年執行猶予4年)した元助役の件で「元助役に行政上の不正は無く、解職したのは誤りだった」と表明。元助役宅に出向き謝罪したことを明らかにしました。

引き続き、市民の税金によって発行されている8月5日発行の広報そうか(10万5千世帯に配布)の「市長のコラム」でも同趣旨の見解を木下市長は掲載。その後、その有罪元助役を副市長に就任させようと周囲に打診していたことも明るみになり、「何故、今更、司法判決を否定するのか」「有罪助役を復職させるのは前代未聞」と市議やそれを知った市民から大きな声が上がりました。

草加市議会9月定例会では、市長の真意をただそうと、市議会各派代表6名(自由市民クラブからは瀬戸健一郎)によって質疑が行われました。

■市長の「遵法精神」に疑問と「自己矛盾」

木下市長は「元助役は行政上、不正はなかった」との答弁を繰り返す一方、「司法の判断に意義を申し立てない」と矛盾した答弁を繰り返しました。

市の最高責任者として法律を守るべき立場の市長が、市を舞台に起きた贈収賄事件で有罪と断じられた元助役を「不正はない」と、市長が「謝罪」、しかも周囲に「復職」を打診するということは、法令遵守(ほれいじゅんしゅ)の精神に反し、矛盾を矛盾と思わない姿勢は、善悪の区別が判断できていないことを意味しています。

そしてこの一連の「有罪助役の擁護」の動きが全くの市長の独断で行われたことで、これ以上市政運営を任せていては、草加市の行政権力が正常に行使されず、社会正義も揺らぎかねないとの理由から、市長不信任案を提出し、9月2日深夜、可決成立(賛成24名、反対5名、棄権1名)した訳です。

草加市は埼玉県内で首長不信任案が可決された初めての市町村となりますが、上田清司・埼玉県知事は、9月3日に『「司法の判断は受け止める」としながらも「不正はなかった」と言って、それを市報に書いたり、公言する。「自己矛盾だ」「憲法や法律の趣旨に合わない」と議会から指摘されても謝罪しない。こういう経緯で議会が不信任としたのはやむをえないのではないか』と木下市長の資質を厳しく批判するとともに草加市議会の判断に理解を示しました。

■原点は暴力団に甘く、独裁化の市政体質!

もっとも今回の不信任は、この有罪助役の擁護~復職打診の一件だけで起きたことではありません。

元々は平成16年に起きた「木下市長自らの暴力団組長との親しい関係が事件の背後にあった」と判決文で指摘された公共工事での恐喝事件、市営駐車場売却を巡る不透明な土地売買、草加市リサイクルセンターの不透明な入札で反省を求める決議が可決、学校施設の修繕における虚偽文書による予算執行で市長減給処分など、頻発する不手際や説明無しの決裁に市の決算が3年連続で不認定になり、何度も議会から是正を求められながらも、耳を貸さず、独断専行した市長の市政に根本原因があります。

■9月10日、議会を解散!~あくまでも自分の非は認めず。

9月10日午後3時31分、木下博信市長は、12日明けに失職する道ではなく、議会を解散することを選択し、議長室で待機していた飯田弘之議長に「議会の解散について(通知)」という文書を直接手渡すかたちで議会を解散しました。実際の文書は次のとおりです。

----------------------------------------------------------------------------------
草自第205号

平成22年9月10日


草加市議会議長 飯田弘之 様

草加市長 木下博信(公印)


議会の解散について(通知)


 平成22年9月2日、貴職から、平成22年草加市議会9月定例会において、私に対し不信任の議決をした旨の通知があったので、地方自治法(昭和22年法律第67号)第178条第1項後段の規定により平成22年9月10日に議会を解散するため通知します。


----------------------------------------------------------------------------------
※この文書が口頭、文書の形式を問わず市長から通知された時点で、議員は失職します。
※来週明けにも選挙管理委員会が開かれ、市議会の改選日程が正式に決定されます。
※議会解散40日以内に選挙を実施しなければならないと法律で定められていることから、遅くとも10月17日(日)までに投票日を設定しなければなりません。
※しかし、10月17日(日)には「ふささらマラソン」が予定されており、職員約500名と相当数の市民ボランティアが必要なことから、この日程は物理的に難しく、従って、現在想定され得る日程は、10月3日(日)告示、10月10日(日)投票という案です。


■不信任可決による解散選挙は、市長が正当性を市民に問う選挙。

市民意志の二元代表制の一方を担う議会で、その構成議員の圧倒的多数による不信任可決を受けてなお、「政治空白を作らないため」という理由で議会を解散する。現行の自治法は市長にそれだけ強大な権力を保障していることになります。つまり、市長は自分が失職することなく、議会を解散することによって、自分の正当性を市民に問うことができるわけです。

しかし、市長が不信任を議決した議会を解散した場合は、改選後の議会は過半数の議決で今度は市長不信任を可決することができることが法の定めとなっています。

つまり、最初の不信任の可決要件は四分の三の特別多数議決で、投票総数30票であれば、23票が可決に必要な最低ラインでしたが、改選後は16票で可決することができ、その場合、市長は議会を解散する権限が与えられず、自動失職するわけです。

■無関心ではなく、市民の皆さまの常識と良識を・・・。

今後は地方自治法の手続きにより、10月3日告示、10月10日投票で市議会議員選挙が行われますが、私たちは今回の選挙を混迷と停滞の市政がよりよい未来に向けて舵を切る、草加市の再出発としたいと思っています。市民の皆さまの賢明な判断をお願いしています。

木下市長不信任案に対しての各議員の投票結果は以下のとおり(定数30名)

■賛成した議員(市長にNo)・・・24名

浅井康雄、飯田博之議長、浅井昌志副議長、宇佐美正隆、佐藤勇、大野ミヨ子、新井貞夫、斉藤雄二、須藤哲也、西沢可祝、今村典子、平野厚子、飯塚恭代、佐々木洋一、秋山由紀子、丹羽義昭、浅井喜久男、松井優美子、須永賢治、田中昭次、大久保和敏、芝野勝利、瀬戸健一郎、中山康

■反対した議員(市長にYes)・・・5名

鈴木由和、小川利八、関一幸、石村次郎、吉沢哲夫

■棄権した議員・・・1名

小澤敏明

みなさんの意識を、草加市に向けて下さい。
だれもが幸せなまち―草加をつくるために!


瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor