Ken Seto's ameblo by 瀬戸健一郎@草加市-新聞スクラップ2010.8
※木下博信市長の定例記者会見での発言について報じる新聞各紙の記事。読売新聞、埼玉新聞、朝日新聞、毎日新聞の日刊紙に加え、東武よみうり新聞は2週にわたり、記事とコラムで報じています。

木下博信草加市長は、去る7月29日に行われた定例記者会見の席上、かつて自らが任命権者として抜擢し、その後、贈収賄事件で逮捕、起訴された元助役の「解任は間違いであった。」として、同元助役に謝罪したことを明らかにしました。

既に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決が確定し、その執行猶予期間が満了したタイミングで、「過去の事件から見えた行政として留意すべき事項について(通知)」(草職第345号)という文書を7月26日に草加市役所所属長あてに発行し、木下博信市長自ら、行政会議で部局長に説明。庁内掲示板を通じて全職員に周知したことを、木下博信市長自ら、定例記者会見において説明したものです。

■過去の事件における新たな対応策の検証経緯について

1.市長から、今後の行政執行に生かすため、事件発生からの一連の経過や資料を改めて検証するよう指示あり(平成22年4月下旬)
   ・職務倫理向上委員会における資料及び報告書等を時系列に整理
   ・事件における公的記録(新聞記事、判決文等)を時系列に整理

2.市長より必要に応じて元助役の事情聴取を行うことと、同様な事件が起こらないよう職務執行上の留意点を整理するよう指示あり(平成22年5月上旬)

3.事件発生からの一連の経過や資料の整理完了(平成22年5月下旬)

   ・市長報告→市長より元助役の事情聴取をするよう改めて指示あり

4.元助役の事情聴取(平成22年6月4日 9:15~11:45)
   ・庁外にて事情聴取(元助役が所有していた供述調書をもとに)
   ・出席者:総務部長、職員課長、職員課課長補佐、市長付専門員

5.市長決裁(平成22年6月17日決裁)
   ・行政として留意すべき事項(4項目)について決裁を得る。

6.行政会議及び職員への周知(平成22年7月26日)
   ・行政会議において留意すべき事項を市長より部局長に説明
   ・庁内掲示板を通じて全職員に周知

7.定例記者会見(平成22年7月29日)
   ・定例記者会見において行政として留意すべき事項等について市長が説明

※以上、定例記者会見に至るまでの市役所内での経緯を時系列に整理したものです。すべては木下博信市長自らの指示で行われたことであることが分かります。

■過去の事件から見えた行政として留意すべき事項について

草 職 第 345 号
平成22年7月26日


所 属 長 様

総 務 部 長


過去の事件から見えた行政として留意すべき事項について(通知)


 元助役の公共事業に関する平成17年に起きた事件の判決確定(平成18年5月10日)から4年間余りの月日が流れ、この間、全職員が一丸となり、市民からの信頼回復へ向けて行動を積み重ねてまいりました。

 さて、今般判決確定から一定期間を経過したことから、事件発生からの一連の経過の再整理を行うとともに、草加市で二度と同じような事件を起こさないために、元助役からの協力によりこれまで草加市で所有していなかった資料や情報の提供を受け、事件発生後に職務倫理向上委員会の報告を基に草加市が講じてきた対応策のほかに「行政として留意すべき事項」がないかどうか検証を行いました。

 ついては、別紙「過去の事件から見えた行政として留意すべきこと」のとおり検証結果が得られましたので、貴職におかれましてもこれらの留意事項を再確認いただくとともに、貴所属職員にもこの旨を周知され、これまで以上に公正な職務の遂行に努められるよう通知します。

担当:職員課
内線: 2226


※以上が総務部長から各部局長に発せられた文書の全文です。(当ブログでは、個人名を伏せ、職名のみ残しています。)

■過去の事件から見えた行政として留意すべきこと

1.行政として新しい技術、製品等良いものには積極的に取り組むこと
   ・業務を行う際、最小の経費で最大効果が得られるよう、新しい技術や製品等の情報を収集し、積極的に比較検討を図る行為自体を萎縮させてはならない。

2.上司等からの指示を忖度(そんたく)しないこと
   ・上司から新しい技術の導入・発注等の比較検討を指示されたからといって、それをその導入・発注等の指示であると忖度しないこと。

3.知人、友人との関係に注意
   ・知人・友人との関係等に基づく私生活面における行為であっても、職務に関係のある者については、飲食物の提供、金銭、物品等の贈与、適性な対価を支払わずに役務の提供等を受けてはならず、第三者の誤解等を受けぬよう注意をすること。

4.口座管理の徹底
   ・個人の銀行口座の番号等について漏えい等に注意をするとともに、定期的な記帳及び内容の確認等を行い、その管理を徹底すること。

※職員としてあらゆる誤解を与えないよう行動を律すること。

※以上が今回まとめられた留意事項4点と解説文です。(実際に全職員に庁内LANを通じて周知された文書は、この内容でレイアウトされたものでした。)

■広報そうか(平成22年8月号)~市長室からお知らせします。

Ken Seto's ameblo by 瀬戸健一郎@草加市-広報そうか2010.8
※実際に「広報そうか」(平成22年8月号)に掲載された記事の画像です。


■草加市議会9月定例会開会日に市長報告~市長報告に対する質疑

今回のブログ記事はここまで、極力私の私見を交えず、新聞記事の詳細にも言及せず、草加市役所の内部で整理され、周知された文書と「広報そうか」に掲載された、木下博信市長自らの発言のみを、お伝えしました。

みなさんはどのようにこの事件を受け止めておられるでしょうか?

来る9月2日に開会される、草加市議会9月定例会の開会日に、この一連の木下博信市長の発言や業務上の指示、その成果について、木下博信市長自ら議会に対して「市長報告」することになっています。その市長報告に対する質疑も予定されており、各会派の代表者らが木下博信市長の政治姿勢を糺(だた)すことになります。その後、各派交渉会が開かれ、何らかの本会議対応が予測されています。

■瀬戸健一郎の政局所感~木下博信市長は法の執行者として不適格。

木下博信市長の一連の言動を通して私が感じるのは、木下博信市長は法の執行者として不適格であるということです。

木下博信市長の「広報そうか」(平成22年8月号)の記事は、木下博信市長ご本人の言葉であることは明らかです。「司法の判断とは別に、再検証の結果から、私は行政行為としては不正な指示はなかったという認識に至りました。」と述べていますが、この再検証の内容はこのブログ記事で上述の中身だったわけです。つまり、控訴せず有罪が確定した(自ら起訴事実を認めた)元助役の事情聴取のみを行わせ、判決文(犯罪の構成要件を満たす起訴事実)によって指示を受けたとされた職員の事情聴取は行っていません。

同じ記事の冒頭の「役所が変わってきたね」という評価の言葉とは、木下博信市長の功績なのではなく、木下博信市長と「親しい関係」にあった暴力団組長が引き起こした公共工事における恐喝事件と、木下博信市長が就任直後に抜擢した助役の贈収賄事件で、半年の間に2回も草加市役所が埼玉県警の手によって家宅捜索を受けるといった、職員ではなく、市長と助役が起こした2つの前代未聞の不名誉な大事件を受けて、ただ黙々と市民の信頼回復に向けて草加市役所の職員一人ひとりが働いてきた、その不断の努力の成果であることを、私たち市民はしっかりと区別して認識していかなければなりません。

記事の中で木下博信市長はこう続けています。「しかし、司法の判断としては不正があったとされ、私も起訴という事実を重く受け止めて助役を解職としてしまいました。こうしたことになるのは、本人にとっても市役所にとっても市民にとっても不幸な結果です。」

不幸な結果とは、逮捕・起訴された助役を木下博信市長が解職したことなのではありません。助役が贈収賄事件で逮捕・起訴された事実です。「解職」という市長職権の行使の結果が「不幸な結果」と言えるのは、逮捕・起訴された助役が無罪判決を勝ち取った場合のみに言える言葉なのであり、木下博信市長の認識は司法判断が間違いであったということになるのです。

そして、「このようなことが、再度生じないように、公務員は自らを本当に厳しく律していかなければなりません。」という総括は、あたかも有罪が確定した助役の贈収賄事件が職員の責任であったかのような発言です。草加市役所の職員は、市長のスキャンダルと助役の贈収賄事件で傷ついた草加市役所の信頼回復のために、既に大変な努力をしてきたのであって、私は草加市役所の職員に心から感謝したいと思います。本当にご苦労をおかけしました。そして、市民の信頼回復に取り組んでいただき、本当にありがとうございました。私にとって、皆さんは誇りです。

木下博信市長が取りまとめ、周知された「過去の事件から見えた留意すべきこと」の4項目について、「2.上司からの指示を忖度(そんたく)しないこと」についても、元助役の指示を忖度(そんたく)した職員が悪いと主張しているように聞こえます。

行政の仕事は、市民の必要(needs)や要望(wants)を満たしていくことです。声の大きな一部の人たちだけの声に応えてポストや予算を決裁していく市政はこの草加市を「だれもが幸せなまち」にはしません。声無き声を聴き、声無き声に応えていくには、その声無き声に耳を傾け、その中に含まれているメッセージを正確に忖度する能力は不可欠です。

職務に忠実で、上司に従順な職員は、上司が常に市民福祉を最大化するために有効な指示を与える存在であり、まして決して市民利益に反することはしないという信頼関係の中でこそ活かされるのです。自分が信じた上司に収賄の事実があれば、傷つくのは職員の方です。

確かに、木下博信市長が逮捕・起訴された助役を心から信じていれば、そして、逮捕・起訴という事実にも動かされず、元助役を解任しなければ、元助役は控訴して、徹底的に無罪を勝ち取るために戦ったかもしれません。まして今回、「私は行政行為としては不正な指示はなかった」と市民の税金を使って再検証し、市広報紙を使って私見を発表するほどの根拠があったのだとすれば、木下博信市長は元助役に対して個人的な責任があるのであって、これを公的に償おうとするのは、公私混同であると断じざるを得ません。

現実に、去る6月定例会で元助役を副市長に復職させる議案を準備するため、複数の議員にその意向を打診していた事実も明らかです。

木下博信市長は自らの不注意と認識不足から招いた暴力団による市政への介入についても、贈収賄事件で有罪が確定した元助役の事件についても、草加市政の最高責任者としての自覚に欠け、当事者能力に欠け、責任能力に欠けていると私は思います。

つまり、木下博信市長は法の執行者としては不適格な人物だと感じます。

人を裁くことは私の本意とするところではありませんが、このような事件に対して、市議会議員という立場からどのような所感をもっているかを率直に述べることは、私の公職者としての責任であり、不正を許さない草加市民24万2935人(2010年8月1日現在)の付託に応えることですので、ブログ記事にするのは遅れましたが、ここに公開することと致しました。

みなさんの忌憚の無いご意見、叱咤激励をお願い申し上げます。

一部の人たちだけでない、「だれもが幸せなまち」をつくろう!

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市議会議員
Soka City Councilor