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マックがトーマスビルからラジエーター・スプリングスに戻って来たのはそれから3日してからの事だった。「特別コーチをお連れしたぞボス!」マックはそう言うとV8カフェの前で止まり、トレーラーのタラップを下した。
マックが連れてきたのは錆びて色褪せたオレンジ色のピックアップトラックだった。ピックアップトラックがトレーラーから降りてくるとマックイーンが出迎えた。「スモーキー!来てくれてありがとう!」「久しいな坊や。」マックイーンとスモーキーは再会を喜んだ。
マックイーンが電話でコーチを頼んだのはマックイーンの古い友人であるスモーキーだった。「マックイーン、この方は?」キャルが尋ねた。「皆紹介するね。彼はスモーキーだ。あのドック・ハドソンの友人でクルーチーフをしていた事があるんだ。僕も前にストームと戦うためにトレーニングしてもらった事があって今回もまた彼の力を借りようと思ってね。」
「坊やから電話があった時は驚いたよ。またトレーニングしてくれって言うんだからな。しかも友達も一緒にって言うじゃないか。」スモーキーは嬉しそうに低く笑うと付け加えた。「俺のトレーニングは厳しいぞ?ついてくる覚悟はあるか?」「もちろんだとも。」マックイーンが力強く頷く中、キャルとボビーは不安そうに眼を合わせた。
 
「まずお前たちの今の実力を見せてみろ。」そう言ってスモーキーはスタンレーの銅像をスタート地点にしてゴールの町の入り口にあるウェルカムボードまで3台を順番に走らせた。ゴールを通過するたびにグイドが速度測定器をスモーキーに見せたが、スモーキーは顔をしかめるだけだった。
「どうだった、僕らのスピード?」最後に走ったマックイーンが息を弾ませてスモーキーのところに戻って来た。「ダメダメだ。お前たちを基礎から鍛えなおす必要があるな。」
スモーキーがスタンレーの銅像の前に連れてくると、マックイーンはウンザリした表情になった。「ベッシー……。」「ライトニング、彼女は?」ボビーが眉をひそめるとマックイーンは答えた。「あー、彼女は道路舗装作業車ベッシーだよ。スモーキー、まさか彼女を牽けって言うんじゃないよね?」
「そのまさかだ。だが今回は道路舗装をする為じゃない。コイツを牽いてメインストリートの端にあるゴールに着くタイムを競うんだ。」「お言葉ですがスモーキーさん、こんな事して本当にタイムが伸びるんですか?」ボビーが疑わし気に聞く。
「疑うならやってみろ。1週間後にはスピードが伸びてる。まずはライトニングの坊やからだ!」スモーキーに言われてマックイーンは渋々ベッシーを繋いで町の入り口を目指した。
 
スモーキーは今度は牧草地にマックイーンたちを連れてきた。「こんなところに連れてきて次は何やるの?」マックイーンが尋ねた。スモーキーはそれには答えずにマックイーンたちをトラクターのいる囲いに押し込んだ。「トラクター共が囲いの反対側に着くまでに追い抜いてトラクターの先頭に立て。相手の動きを読んで抜く訓練だ。」
スモーキーがクラクションを鳴らすとトラクターの群れは鳴き声を上げて地響きを上げながら駆け出した。「ぼーっとするな、レースでぼんやりしてる余裕なんかないぞ!」スモーキーの言葉でマックイーンたちはトラクターの後を追いかけ始めた。
トラクターとトラクターの間に隙間を見つけたマックイーンはしめたと思いその間に入り込もうとしたが、その前に右のトラクターがマックイーンの動きを塞ぐように前に出た。危うくトラクターの大きなタイヤに踏みつぶされそうになったマックイーンが悲鳴を上げるとスモーキーの檄が飛んだ。「相手の動きをしっかり読むんだ!」
 
トラクターとの訓練が終わってゼエゼエ荒い呼吸するマックイーンたちにスモーキーが厳しく言った。「息切れしてる場合じゃないぞ。次のトレーニングパートナーはそんな生ぬるい奴じゃない。」
そこへ牡牛の咆哮と草を刈る音が聞こえてきた。「まさか……。」顔の青ざめるマックイーンにボビーが尋ねた。「まさかって?」マックイーンが答える前にキャルが震えながら口を開いた。「ね、ねえ。何かこっちに近づいてきてるんだけど!」
「フランクだ!」マックイーンが叫ぶと同時に巨大コンバインのフランクが茂みから姿を現し、マックイーンたちは一目散に駆け出した。「死ぬ気で走れ!フルスピードを出さんと刈り取られるぞ!」スモーキーが叫んだ。
 
スモーキーの訓練は想像以上に厳しかった。訓練開始から2日経ったある日。フランクに追いかけまわされている最中、スモーキーがキャルとボビーに向かって怒鳴った。「相手を振り切るなら相手の裏をかけ!」その言葉を受けたキャルとボビーはフランクの刈り取られる寸前に左右に分かれた。
相手が二手に分かれた事でフランクはどっちを追うべきか迷い、そうこうしているうちにキャルたちの脇を通り過ぎていった。キャルとボビーが楽しそうに笑っているとスモーキーが褒めた。「そうだ、よくやった!ほら油断するな、また戻って来たぞ!」キャルとボビーが驚いて振り向くと怒り狂ったフランクが突っ込んでくるのが見えた。
それからスモーキーはマックイーンにもアドバイスした。「メーターから聞いた話によると例の対戦相手の1人がお前のテクニックを盗んだそうだな。」「そうだよ。あんなの初めてだ。」マックイーンが腹立たし気に答えた。「だったら打開策は1つしかない。奴と同じ事をしてやればいい。」マックイーンはスモーキーの言っている意味が分からずに顔をしかめた。
 
そんな訓練が5日も続いたある日。ベッシーを牽いてタイムを競っていたキャルがある事に気づいた。「何だか前より体が軽くなった気がするんだけど。」「ベッシーを外したからなんじゃないのか?」ボビーがからかう。
「よし、だったらここからスタンレーの銅像までタイムを図ってみよう。」スモーキーが提案し、マックイーンたちは順番にタイムを図った。「よくやったな3人とも。タイムがこの間よりも速くなっている。」スモーキーが満足げに言い、グイドが測定器を見せた。
前のタイムを上回っていると知り、マックイーンたちは嬉しそうに顔を見合わせた。
マックイーンたちは最終メンテナンスに取り掛かった。グイドがボビーに真新しいレーシングタイヤを履かせ、フィルモアがキャルに燃料を補給し、ラモーンがマックイーンをドックを意識した鮮やかな青から現役時代の赤い塗装に戻した。「準備ができたな。」3人の姿を見てスモーキーが微笑んだ。
 
チックはマックイーンから奪ったラジエーター・スプリングス・スピードウェイでザックたちの訓練をしていた。「もっと全力で走れ!そんな走りじゃピストンカップで通用しないぞ!」ピットからチックが怒鳴った。
ザックたちがコースを1周した時、ザックたちは立ちふさがるマックイーンたちに気づいて急停車した。「ここに何の用だ老いぼれ共。」「君たちに再戦を申し込みたいんだ。」ザックに尋ねられ、マックイーンが静かに切り出した。
マックイーンたちに気づいたチックがやって来て言った。「再戦だ?冗談がきついな、ここはもう俺たちのサーキットだとっとと出ていけ負け犬め!」「そうだ、君たちは1度僕らを負かしてる。だったら次も勝つ自信があるだろう?それともこの間のはまぐれだったのかな?」
マックイーンに挑発されたチックは悔しそうに歯ぎしりすると答えた。「良いだろう、受けて立ってやる!」
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再びマックイーンたちとザックたちとのレースが行われる事になった。ルールは前回とほぼ同じで、マックイーンたちが勝てばサーキットが返され、負ければ永遠にチックたちがこのサーキットを使う事になった。
レーサー達は2列に隊列を組んで、フォーメーションラップを行う。先頭はボビーとバドだった。「また負けに来るとは本当に可哀想な爺さんだぜ。」「運が良かっただけってまだ分かってないなんて本当に可哀想だな、若造。」
2列目はキャルとエディだ。キャルと目が合ったエディは威嚇してエンジンを唸らせたが、キャルはそれに怯まず同じようにエンジンを唸らせて威嚇した。最後尾にいるのがマックイーンとザックだった。にらみ合う両者の間に火花が散った。
前回はクルーズがマックイーンのクルーチーフを務めていたが、今回はスモーキーが務める事になった。「落ち着いていけ。今のお前たちの実力派はあの若造共の実力を上回っている!きっと勝てるはずだ!」スモーキーは3人に檄を送ると小さく付け足した。「頼むぞ、ハドの坊や。」
観客席ではラジエーター・スプリングスの住民たちが見守っている。「お願い!今度こそ勝ってステッカー君!」サリーが祈るように言った。
レーサー達はスタートラインに近づく。ペースカー役のシェリフがピットロードに入る。「スタート!」ルイジの掛け声と共にグリーンフラッグが振り下ろされる。レーススタートだ!
レースが始まるとレーサーたちはザックを先頭に電車の様に連なって走った。10周するとザックたちは加速してマックイーンたちを振り切り、疎らになった。
スモーキーが無線で指示した。「良いぞ。作戦通りだ。まだレースは始まったばかりだ。相手を引き付けて1台ずつやっつけていけ!行け!」スモーキーの合図でマックイーンたちも疎らになって加速した。
キャルはバドの後ろに張り付いた。すかさずバドは追い抜かさせまいとブロックした。「簡単に俺を追い抜かす事は出来ないぞ老いぼれ!」「それはどうかな!」キャルに気を取られている隙にボビーがバドの脇に現れる。
「させるか!」バドがボビーの道を塞ごうとしたがその前にボビーが笑いながら抜いて行く。さらにバドがずれた事でキャルもバドを追い抜き、マックイーンもそれに続いた。バドが雄たけびを上げながら追走してくる。
だが追えども追えどもバドはマックイーンたちに追いつけなかった。「どうしてだ!どうして老いぼれ共に追いつけないんだあああっっっ!!」風のような速さで遠ざかっていくマックイーンたちの後姿を見てバドは悔しそうに叫んだ。
「凄い!スモーキーのトレーニングの成果だ!」キャルが叫ぶ。「まるで体が自分の物とは思えないくらいに軽いぞ!」ボビーも嬉しそうに言った。キャルを先頭に彼らは2番手に迫った。
 
ターンを旋回するマックイーンたちの目の前にエディの後姿が近づいてきた。エディはインサイドぎりぎりを走っていた。キャルを先頭に彼らは徐々にエディを追い抜いて行く。エディも負けずに加速し、彼らはツーワイドで第3ターンと第4ターンを抜けた。
ターンを抜けてストレートに戻るとマックイーンたちはエディを抜いたが、エディは執念深く追いかけ再びマックイーンたちを抜き返し始めた。「死ぬ気で走れ!」スモーキーが無線に向かって叫んだ。
その言葉でキャルはハッとして加速した。徐々にではあるがエディを引き離し始め、第2ターンに差し掛かる頃にはエディを振り切る事に成功した。「よし、よくやった!あとはザックだけだ!」スモーキーが叫んだ。「その調子よ!」クルーズも嬉しそうな声を上げた。
 
50周目に入るとマックイーンたちはバドとエディから2周も差をつけていた。ピットロードが開くとバドとエディがピットに駆け込んできた。「何やってるんだこの役立たずどもめ!」チックが喚く。「だってあの老いぼれ共、前よりずっと速くなってるんだぜ?」バドが息を切らしながら言うとチックは声を潜めた。
「教えただろ。勝つためならどんな卑怯な手を使えとな。遅れを挽回する事は出来なくても奴らを勝たせない事はお前らにだってできるはずだ。」チックがそう言うとバドはにんまりと悪そうな笑みを浮かべ、エディは仏頂面のまま頷きピットを飛び出していった。
 
80周目に差し掛かり、マックイーンたちは第4ターンを抜けた辺りでようやくザックの後ろに迫っていた。「よしハドの坊や、その若造に一泡吹かせてやれ!」スモーキーの指示でマックイーンはザックとウォールの間に入り込んだ。
「脇ががら空きだぞ!」マックイーンがからかいながら抜き去ろうとした瞬間、ザックが体当たりしてマックイーンをウォールに押し付けた。「これでどうだ!」ザックが喚く。ウォールに抑えられて車体をひっかく音が聞こえ、火花が飛び散りマックイーンは苦痛に顔を歪めた。後ろにいるボビーとキャルも気が気ではない。
マックイーンはザックを押しやり、後ろに下がった。「大丈夫か坊や!」「ああ何とかね。流石チックの教え子だよ。」スモーキーの心配する声にマックイーンは息を切らしながらだが、チックたちへの皮肉を言いながら無事を伝えた。「忘れるな、奴はチック・ヒックスの教え子だが、お前はハドソン・ホーネットの教え子だ。ハドの教え子の実力を見せてやれ!」
その時周回遅れのバドとエディが後ろから迫って来た。「これでもくらえ!」バドは喚くとボビーに、エディはキャルに体当たりした。体当たりをされたボビーとキャルはバランスを崩してふらついた。「はっはあ!ざまあ見ろ!」バドが言った。
ところがバランスを崩したボビーが接触し、バドもバランスを崩して横滑りした。さらに後ろからエディが突っ込んできて2人はコンクリートウォールに激しく体を打ち付けた。
「ボビー!キャル!」マックイーンが後ろを振り返りながら2人を心配した。キャルとボビーはコースアウトして芝生の上にいた。「俺たちは大丈夫だ。でもこれ以上レースを続けるのは無理かもしれない。」ボビーが言った。
イエローフラッグが振られ、シェリフがザックとマックイーンの前に出てきた。メーターが走行不可能になって脱落した4台を安全な場所へ移動させていく。
「何て奴だ、勝つためにこんな事をするなんて。」マックイーンが憤る。「へっ、勝てれば何でもいいだろ!」ザックが喚く。「敵も痛手を負ったが、こっちも痛手を負ったな……。あとはお前頼りだ坊主。」スモーキーが言った。
「残り20周よマックイーンさん、キャルさんとボビーさんの敵を討ってあげて!」クルーズも言った。「任せろ!ここにきて負けるわけにはいかないよ。」マックイーンの決意はより一層強くなった。
グリーンフラッグが振られてレースが再開した。マックイーンとザックの一騎打ちが始まった!
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マックイーンもザックも一歩も引かず凄いレース展開が開かれた。飛ぶように周回が過ぎていき、レースも残すところあと2周となった。第2ターンを抜けてマックイーンがザックの後ろにぴったりと張り付き、ドラフティングした。
マックイーンはザックとウォールの間に僅かな隙間を見つけるとそこに入り込んだ。「させるか!」ザックは体当たりしようとしたがその前にマックイーンが通り抜けたのでザックはウォールに体を打ち付けてバランスを崩した。
「ふっふー!」マックイーンが歓声を上げ、トップに躍り出る。バランスを崩したザックは何とか持ちこたえるとマックイーンを追走した。
スクリーンにファイナルラップの文字が映し出された。トップは依然マックイーンだ。「その調子よ、頑張ってステッカー君!」「逃げきれ坊や!」サリーとスモーキーが叫ぶ。
「手加減してやろうか?」マックイーンが後ろを振り返って尋ねた。「まさか!お前ごときに手加減なんてされてたまるか!」そう叫んでザックはマックイーンを追い越していった。
ザックは息切れしていたがマックイーンは余裕の表情だ。ザックがトップのまま第1ターン、第2ターンを抜けコースを半周したところでマックイーンが最後のアタックを仕掛けた。
マックイーンがザックを抜かそうと右に出るとザックも右に出て進路を塞いだ。すると今度はがら空きになった脇の方からマックイーンが追い越そうとした。すかさずザックが進路を塞ぐ。
マックイーンがザックを追い抜こうと右へ左へ動くたびにザックもブロックしようと右へ左へと動く。「しつこいぞ!小蠅みたいに鬱陶しい奴め!」ザックが喚いた。2台は最終ストレートに突入した。
ザックが加速してマックイーンを振り切ろうとする。その時マックイーンの体が右に大きく揺れた。それに合わせてザックが右に移動したそのすきをついてマックイーンががら空きになった左側に飛び出した。
その瞬間辺りがスローモーションになった。驚くザックの目と勝利を確信したマックイーンの目が合った瞬間、マックイーンをトップに2台は紙一重の差でフィニッシュラインを通過した。
チェッカーフラッグが大きくはためき、歓声が沸き起こった。「イエーイ!カッチャウ!」マックイーンも大きく飛び跳ねて決めポーズをとった。一方のザックはと言うと急停車して悔しそうに叫びながらその場でドーナツターンを始め、煙で姿を隠した。
マックイーンはラジエーター・スプリングスの仲間たちから賛辞を浴びながらサーキットを一周してピットに戻っていった。「これで、サーキットはマックイーンの物だな。」スモーキーが錨にフェンダーを震わせるチックを見ながら言った。「さあ、土地の権利証を持ってくるんだ。」
ところがチックはスモーキーの言う事を聞かずに奇声を上げながらマックイーンめがけて突進していった。その奇行にマックイーンたちは思わず身構えたが、不意にチックのリアバンパーにフックが引っかかり、チックは前につんのめった。
「おい、離せ!離せえええっ!」喚くチックのリアバンパーにフックをひっかけて危機一髪マックイーンを救ったのはメーターだった。吊り上げられ、じたばたもがくチックにメーターは笑いながら言った。「離せば良いんだろ?ほらよ。」
メーターがアームをクイッと持ち上げると反動でチックは宙返りし、ルーフで逆立ちする状態になった。「起こせ!起こせえええっ!」ひっくり返された亀のようにもがくチックを見てマックイーンたちが笑っていると、グイドがどこからかチックのサインが入った土地の権利証を持ってきて皆の前でびりびりに破り捨てた。
それからグイドが差し出した権利証の写しにマックイーンがタイヤ跡をつけてサインし、こうしてラジエーター・スプリングス・サーキットは再びマックイーンの物となった。
 
チックたちとのレースから一か月後。再びラジエーター・スプリングス・グランプリが開かれた。観客席は車で溢れ、招待されたレーサーたちがレース前の準備をしていた。マックイーンがピットにいると誰かが声をかけてきた。
「ようマックイーン。」「ボビー!キャル!来てくれて嬉しいよ。大した怪我じゃなくて良かったね。」親友の姿を見てマックイーンが嬉しそうに言った。「俺たちよりバドたちの心配をした方が良いんじゃないのか?アイツらまだ病院にいるみたいだぜ?」「全治2か月だってさ。」「自業自得だよ。」そう言ってマックイーンたちは笑った。
マックイーンたちの活躍により、チックの野望は消え去った。サーキットを取り戻されたチックは練習場を失い、ザックがマックイーンに敗れた事から立ち直れず、バドとエディが大怪我を負った事で協力な生徒がいなくなり、学校の経営どころではなくなってしまったのだ。
「あいつらまたレースを仕掛けて来るかもよ?」招集をかけられ、コースでタイヤを温めながらボビーがマックイーンに言った。「その時はまた返り討ちにしてやるさ。」マックイーンが自信たっぷりに言って目くばせした。
「レーサーたちがスタートラインに向かっていきます。」実況のジェイドの声がした。「今月こそ勝たせてもらうよライトニング!」「そうはさせないさ。バドたちには勝てたかも知れないけど僕には勝てないよ。」「それはどうかな?」
グリーンフラッグが振られ、爆音を響かせながらマックイーンたちは楽しそうに笑いながらコースを激走していくのだった。
 
●あとがき
去年から言い続けてたカーズの中編をようやく書き終えました(^^;
ちょっと格好つけてNASCARの用語を調べて文章に入れてみましたが、NASCARに詳しいわけでは無いのでもし間違った使い方をしてたりしたらコメントで指摘してください。用語の解説しようと思ってましたが・・・めんどくさいから自分で調べてください。検索すれば出てきますm(__)m
 
当初のタイトルは「The Ballad of Lightning Mcqueen」でしたが「Radiator Springs Night」の方がしっくりくるかなと思い変更。
元ネタは2006年公開された「Talladega Night:The Ballad of Ricky Bobby(タラデガ・ナイト~オーバルの狼~)」から取りました。
とはいえこの映画未視聴なんですがね。今度見てみようと思います(
因みにこの映画について少し調べてみたところカーズが公開された年と同じ年に公開されていたんですね。しかも同じレース映画。
こちらはコメディ映画の様ですが。主役の吹き替えは山寺宏一が務めているようです。なお日本でも見れるようですが劇場未公開だったようです。知る人ぞ知る映画みたいなものでしょうか。
 
ラジエーター・スプリングス・スピードウェイが舞台となっていますがこちらは日本未発売のゲームや絵本(こちらは日本で購入可能)にも登場します。このブログではサーキットの形状はオーバルですがゲームや絵本ではオーバルではありませんが。チックが教え子を持つという設定もゲームや絵本にあやかっています。
チックの登場については当初考えてなかったのですが、当初の「ラジエーター・スプリングス・スピードウェイを取り壊してホテル建設を目論むオーナーが雇ったレーサーたちと戦う」ストーリーにするつもりだったのをチックの教え子たちが道場破りする方が分かりやすいと思って変更した為、登場予定の無かったチックを登場する事になりました。
 
今回登場したのはマックイーン、キャル、ボビーの仲良しトリオに加え、オリキャラで彼らと対の立場に当たるチックの教え子たちザック、バド、エディですが本当はブリック、そしてチックの教え子に「フィリップ」と言うオリキャラを出す予定だったんですが彼らの使い道が浮かばず没に。ザックのフルネーム「ザック・レヴィ・ウェーバー」はフィリップのフルネームから受け継いでいます。
余談ですがバド・リッキーの名前はピクサーのベテランアニメーター「バド・ラッキー」から拝借、エディ・レグイザモはアメリカの俳優、コメディアンである「ジョン・レグイザモ」を基にしています。特に意味はありませんが()
 
今月中にカーズ中編を投稿する事が出来て良かったと思ってます。予定通りに進みましたからね(笑)
春休み中沢山ブログ投稿できた事にも満足。夏休み中にカーズの長編を投稿予定しています。そのうち情報投稿しますね。
今回が春休み最後の二次創作投稿になります。次回の更新は未定。トーマスの新シリーズを投稿するかも。もしかしたらその間になんか雑記を投稿するかも知れません。
では今回はこの辺で(@^^)/~~~
 
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・おまけ ラジエーター・スプリングス・グランプリに出てたモブレーサー一覧です。特に需要はありませんがお気に入りのオリキャラがレースしてたところを想像してお楽しみください。
●ブリック・ヤードレィ、ジミー・ケーブルズ、ラスティー・コーンフューエル、レーン・ロック、チップ・ギアリングス、カール・クラッチェン、エイケン・アクセラー、チャック・アームストロング、ライアン・シールズ、T.G.キャッスルナット、クロード・スクラグス、ブラッシュ・カーバー、ウィンフォード・ブラッドフォード・ラザフォード、フロイド・マルビヒル、スライダー・ペトルスキ、セージ・バンダースピン、ダレン・レッドフッド、マック・アイ・カー、ポンチー・ワイプアウト、ラルフ・カーロウ、ケビン・シフトライト、トッド・マーカス