東京中央区の出生率トップ「結婚も出産も豊かな貴族夫婦だけが享受できる特権的行為」となったのか?(荒川和久)  

 

 

 出て来たデータから現状を知ることは出来るが、現状のデータだけを見ていると本当の事を知ることは出来ないという典型の記事が出ていたので。

 

 中央区が出生率トップで貴族夫婦だけが云々という結論を出しているのだが、東京の場合、本当の意味での貴族夫婦は中央区よりも渋谷区、世田谷区、杉並区などにも沢山いる。

 

 しかし、これらの区は出生率では後方に配している。これを見て、こういう結論を何故出すのか不思議でならない。当たり前の事だが、人間は死ぬまで子どもを産めるわけではない。

 

 従って、出生率が高い地域は若い人が比較的多い場所を知るデータだと言える。それは、住宅開発によってそうなるのだが。更には、中央区でもばらつきは激しいだろう。

 

 そして、杉並区や世田谷区という比較的若い人が多いと思われる地域でさえ、出生率は1点台そこそこかそれを下回っているということだ。そして、出生率が高い、中央区、千代田区は23区で最も人口が少ないのである。

 

 従って、この出世率を来年キープできているかは不明である。

 

 私の住んでいる区では、自分の地域は一時子どもの数が多くなり校舎を増やしたが、川向こうの地域では学校の統廃合が行われている。そして、つい数年前まで多かった子どもの数が、今やどんどん減り続け、増築された校舎が要らなくなるのは時間の問題となっている。

 

 しかし、その校舎は最初から老人ホームとして利用できる設計になっている。

 

 私が子どもの頃は、と言っても早いもので半世紀前になるが、学校の規模やクラス数は着実に増えていっていたので、減るという事はなかった。

 

 きっと、東京に於いても世田谷、杉並といった住宅街はそういう状況であったと思う。しかし、今日では、減ることはあっても増える事はない。最も高い中央区であっても、1.37しかないし、来年は1を切る可能性もあるだろう。

 

 割と日本の中では年収が高い東京、特に23区内にあっても、出生率は減り続けている。貴族夫婦がムスリム並みに4人以上の子を儲けてくれれば、お金があるから子どもが産めて育てられるという認識は正しいと思うが。

 

 年収が高くなるからといって多産にはなっていないのではないだろうか?

 

 だとすれば、少子化をお金で止める事は出来ないと結論するべきではないかと思うのである。むしろ、日本の出生率を見れば、貧しい時代が高いわけで、それは、世界を見ても貧しい人たちが多産であるこを見れば、豊かになることは人間にとって決して良い事ではないと結論付けるべきではないかと思われるのです。

 

 今生きている私たちは、親からこの世に出してもらったので、いろんな経験をして色んなことが言えるのですが、もし、それがなかったら私たちはこの世に存在しないわけです。

 

 かつては多い時で200万人もの新しい命が誕生したわけですが、昨年は80万人を切ったと言われています。それは、お金が120万人の本来生まれてきても良かった命を食ったという事になるのではないでしょうか?

 

 それは、その命がこの世に生み出したであろう幸せを食ったという事であり、その分、私たちはどんどん不幸になっていったということでもあるのです。

 

 そして、お金に依って失われた多くの命で我々が得たモノは何なのでしょうか?そんなこと等お構いなしに、目の前の我欲に振り回され、失われた多くの命と引き換えにこの世に送り出されたことに感謝することもなく、何も考えずに只々生きている屍と化しているのではないかと思います。

 

 もちろん、個人個人に責任は有りません。全ては、そういう人間を作ってしまった国家の責任です。本当は、江戸末期に江戸庶民を救うために大政奉還をした江戸幕府の様に、自ら国家を捨てなければいけないのですが。

 

 明治以降、ここまで日本人を苦しめて来た国家をお金で豊かにしたことだけを自慢して、その責めを負う事をしないのです。本当であれば、国民が一丸となって倒幕すべきなのですが。

 

 その豊かさに騙されており、その陰で被った甚大な存在を認知できないので、政府に縋りつく有様となっているのが寂しい限りです。

 

 恩とは常に子に返すモノで親に返してはいけないのです。本当の親ならばそのことを理解出来るし、そうして欲しいと思うはずですが、国家にはそれが無いのです。

 

 だから、未来が消されるのです。子とは未来を意味する。そして、我々は未来の為に今を生きているのです。お金が喰い尽くした生まれて来たであろう子どもたちとは未来の事です。

 

 そして、それを裏で実行したのが国家なのです。国家が行った学校教育で、第一に挙げたのは勉強して働くこと。良い働き手となって国家の為に尽くすことを教えてきている。

 

 だから、国民はそれを実行してこうなったのです。本当に教えるべきは、良き働き手ではなく良き父母になることなのです。そして、良き父母になる為に必要なことは、子どもたちに胸を張って言える生き方をすること。

 

 恥ずかしい事辛い事といったネガティブなことも含めて、色んな人生経験を子どもたちに語れる大人になることではないかと思います。

 

 誰かに見られているからするのではなく、常に見ているのは自分であり、その後ろには将来生まれて来るであろう子どもたちが居る。もちろん、最初に話すべきは妻や夫であろうと思いますが^^;

 

 それを為すためには何が必要かと言えば、自分に正直に生きるという事だけです。そういう生きた方をした人はどんなことが有っても胸を張って生きる事が出来るのではないでしょうか?

 

 私たちは誰かの為に何かをするのではなく、常に自分の為に何かをするようにプログラムされているのです。それを正直に行なう事で全ては上手く行くのですが、大抵は嘘を付きます。

 

 そして、そういう嘘が時間を経て時代を超えることで人間を壊し社会を壊し最終的には人類そのものを滅亡させるという事態に至らせるのです。

 

 要は、嘘という仮想現実は必ず消えてなくなるという事です。そして、この世界のその掟の意味をこれから人間は嫌というほど思い知らされることになるのではないかと思います。