世界のCEO、7割が景気鈍化見込む 金融危機以降で最も悲観的(ロイター)  

 

 

>ただ、大半のCEOは今後1年間人員削減は計画していないと回答。

>有能な人材を確保するために給与削減も考えていないとした。

 

 これが本当だとしたら、世界経済は立て直すことは出来ないだろう。ここから始まるのは景気後退ではなく市場収縮という資本主義を吹き飛ばす事態なのだから。

 

>現在の高インフレや低成長、高債務、分断化が進む環境は、成長回復

>や世界で最も脆弱な人々の生活水準引き上げに必要な投資のインセ

>ンティブを低下させている

 

 低成長は、何かの不具合で起こっているのではない。資本主義そのものが自然の姿として起こっている。脆弱な人の生活水準を上げるのに必要なのは仕事である。

 

 資本主義の世界の大原則である働いてお金を稼ぐという方法がとん挫したことから全ては始まっている。資本主義とは一言で言えば、お金に目を眩ませることで成り立つ考えである。

 

 モノを作って売るという金儲けの原則から始まるのだが、何もない時には作って売ることが出来るが、それが一巡して来ると、競争が働いて良いモノを安く作れなければ勝てなくなる。

 

 安く作る為には必要なことは人件費を如何に抑えるかである。それを最初に果たしたのが私たちの日本である。製品を安い人件費で安く作る事で世界へと進出で来た。

 

 それが日本の高度経済成長と世界の経済成長に大きく寄与したのではないかと思う。その結果、日本での人件費は上がっていき、欧米に近づくことで終焉を迎える。

 

 それが次に起こったのがリーマンショック以降に成長した中国である。それは、日本以上に人口が多いことで世界経済をけん引できたと思う。

 

 経済は成長して豊かさを得ると成長が止まる。

 

 家や車や家電が売れなくなるのを見れば分るだろう。そこで必要なのは新しい市場である。その為にはモノを持たない貧しい国が仕事を得て豊かになっていくことが必要なのだ。

 

 かつての日本に中国にベトナムにインドネシアと言ったアジアの国々が市場拡大を為すことで世界経済は成長することが出来た。

 

 人は何故働くかと言えば、基本的にお金に目が眩むからである。何でも買えるお金で豊かな生活が出来れば幸せになれると思いこむことでそれは実現できる。

 

 日本人も中国人もアジアの人々もそれに嵌ってしまったことで、世界経済を成長させてきたのである。結局、アジアは欧米の豊かさを維持するための奴隷という身分は未だに変わらないのだろう。

 

 しかし、この方法には限界がある。絶対的な限界は世界の人口である。人口が増え続けて新しい市場が出来なくなれば経済は成長しなくなる。そして、次なる限界は、お金に目が眩むかどうかである。

 

 お金に目が眩む思想を受け入れるかどうか。お金に目が眩む思想をキリスト教圏と仏教教圏、儒教圏では受け入れられたが、イスラム教圏では受け入れられないのである。

 

 そして、今急激に人口が増えているインドはヒンズー教となっている。ヒンズー教の特徴はカースト制度であり、成長志向が弱い。従って、お金に目が眩む人は少ないのである。

 

 インドが次なる世界経済の成長を支えることは難しいだろう。だけども、人口が増え続けている現実がある訳で、そこに微かな望みを抱く人もいるのかもしれない。

 

 いずれにしても、途上国が経済成長をして新たな市場とならなければ世界経済は没落していくのである。それは景気後退という生易しいモノではない。後退と没落では全く意味が違うのである。

 

 どんなにお金をばら撒いても、新しい市場は作れない。そして、市場はどんどん収縮を続けていくのである。単価アップで凌げるレベルではないのである。

 

 以前は、今ある仕事の9割は無くなると言っていた気がするが、それは言い換えれば今あるお金の9割は無くなるという事でもあるのだ。

 

 それに見合う戦術は、企業が規模をどんどん縮小して店じまいを目指すしかないのである。今ある企業の9割は潰れるからそうせざるを得ないのである。

 

 しかし、バカな政府とバカな経営者は、その逆をひたすら行っている。人件費も削らない人員削減もしないとどうなるかと言えば、倒産という憂き目に遭うという事だ。

 

 もちろん、人件費削減や人員削減を行っても大半の企業は存続できないのには変わりがない。しかし、社会的なダメージは削減を徐々に進めた方が圧倒的に軽いのである。

 

 バカな政府にバカな経営者が成長を煽り続ける事で、それを鵜呑みにするバカな個人が被害者となる。

 

 例えば、不治の病を発症した時に、余命宣告をすべきなのかそうでないのかという事が問われてくるのだが、今では余命宣告をするケースが増えているのではないだろうか。

 

 しかし、資本主義に限っては余命宣告をしようとすることはなさそうだ。それが何を意味するのか。そのことを考える人は少ないだろう。