緩和ケアとは生活の質を上げるサポート。

 

末期だから行うものではないことは、ここの読者の皆さんはご存じでしょう。

 

そして、緩和ケア医は生活の質を上げる引き出しをたくさん持っている専門家―

 

抗がん剤治療の副作用対策の知識も、早期から、つまり治療中から関わる「早期からの緩和ケア医」にとっては不可欠です。

 

そして実際、担当医の対応にプラスアルファして、抗がん剤治療の副作用等の症状緩和を行って、生活の質が上がることはよくあります。

 

結果、治療がうまくいき、私のクリニックを卒業される方も多くいらっしゃいます。

 

先日、提携しているクリニックで継続的に診療することで、初めて、ステージⅣの早い時期から関わり、そして最後まで主担当医の一人として拝見した事例がありました。

 

患者さんは、他の方と同様に、自らお調べになって、私のクリニックを受診され、継続的に外来に来られました。

 

途中から難治性疼痛が出たのですが、鎮痛補助薬や医療用麻薬を駆使して緩和することができたのは良かったと思います。

 

なかなか専門家ではないと緩和が難しいと思われる痛みでした。

 

提携クリニックでも担当医として診療するなどして一貫して関わらせて頂き、彼女は自らのやるべきことをすべて行われ、穏やかに旅立っていかれました。

 

難治性疼痛でしたから、早期から緩和ケアが関わっていなければ、症状緩和までひとしきり時間がかかったであろうと思われます。

 

それがすぐに鎮痛薬調整を図ることができたのは、その方が先んじで動かれたからだと感じました。

 

自院は外来中心ですが、各種の制限はあるものの、このように最後までフォローアップさせて頂くことができました。

 

改めて、彼女にとって貴重な、人生の最後のまとまった時間に伴走させて頂いたことに感謝する次第です。

 

そしてやらねばいけないことが多くあった彼女が、それを完遂されるのを見届けることができたことにも、深く感謝したいと思います。

 

早期からの緩和ケアは正直広く根付いていません。

 

引き続き周知に努めていきたいと改めて思いました。