ノーベル賞を受賞された本庶佑博士の発見から創薬されたのがオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤です。
オプジーボはその薬価などから、以前からたびたびメディアでも取り沙汰されるなど、知名度がある薬剤だと私は感じていました。
2014年9月発売なので、発売から4年が経過しています。
現場ではよく使われるようになり、過不足なく実力が評価されて来ていると感じます。
効かない人には全く効きませんし、致死的な副作用も起こします。間質性肺炎で旅立たれる方もいます。
素晴らしい薬剤ですが、もちろん万能ではなく、副作用等から命を縮めてしまうこともあるのは、他の治療薬と変わりありません。
ただ、ノーベル賞発表からオプジーボを販売している小野薬品工業の株価が急上昇するなど、新たに話題になっているようです。
自身が携わっている領域では当たり前のように存在しているものが、一般にはまだまだ知られていないのだなとも感じました。
おそらく緩和ケアもしかり、なのでしょう。
正しい情報を広めていきたいです。
そして、薄々予測はしていたのですが……、
「あなたのとこの旦那さん、肺がんでしょう? オプジーボをやってもらえば良いんだよ」等と、
治療適応ではない患者さんのご家族が、知人・友人から「オプジーボを勧められた」というエピソードをいくつか伺っています。
このような事実からも、いかに当事者以外にはがんのことが知られていないかと残念な気持ちになります。
勧める側は善意でしょう。
けれども勧められた側は、困惑したり、戸惑ったりするものです。
そもそも、まともながん治療病院で治療を受けていれば、使用適応があればすでに提案されているでしょう。
適応がないので、勧められておらず、受けてもいないのです。
まだ今よりもオプジーボの保険適応が狭い頃。
ある資産家の方が、自由診療で毎回数百万円をかけて、オプジーボの治療を受けていました。
「良くなっていますね」
自由診療の(私の勤務先とは違うところの)医師は、毎回そう伝えていたそうです。
しかし患者さんは診るたびに痩せ続け、衰弱が色濃かったのです。
どう見ても効いているようには見えませんでした。そして程なくして、逝かれました。
ここ数日の報道を見ていると、やや良いほうに寄り過ぎた取り上げられ方だと思います。
患者さんやご家族を戸惑わせるので、第三者が良かれと思って「オプジーボはどう?」はむしろ禁物です。
とはいえ、普段からここをご覧になっているような皆さんはがん情報をよく理解なさっているでしょうから、そうではないところが問題なのですが。
今日の動画です。