肝臓がんはウイルス性肝炎の治療の進歩とともに減少傾向にあります。

 

しかし旧来病的意義が少ないと考えられていた脂肪肝の中に、肝硬変などに進展するものがあることが知られて来ました。

 

非アルコール性脂肪性肝疾患と言います。

 

非アルコール性脂肪性肝疾患の中でも、線維化の強い非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からの肝発がんも考えられるため、肝臓がん自体が容易になくなるわけではないでしょう。

 

肝臓がんは、肝臓内で完結することが多い腫瘍でした。

 

私は内科医としてキャリアを開始し、最初の指導医が肝臓の専門医で、またその後消化器内科を専門としたこともあり、肝臓がんのケースは多数経験しましたが、その頃(15年以上前)はほとんどが肝臓の腫瘍とその再発との闘いでした。

 

しかし、15年ほど前を契機として、肝臓外に転移する症例を見るようになりました。

 

特にこのブログでも再三触れている、あの場所への転移が症状としては問題になります。

 

以下のリンク先でまとめました。

 

肝臓がんの緩和ケア 肝臓がんの早期緩和ケア

 

 

がんは非常に個人差がありますが、がんの種類ごとにも特徴と言えるものはあります。

 

肝臓がんはその性質がゆえに、大変なところがある腫瘍です。

 

重要なことは、苦痛やつらさははっきりと医療者に伝えること、それに尽きます。

 

つらさは主観的なものであり、伝えなければわかりません。

 

旧来身体的苦痛症状は他腫瘍ほどでないと考えられていた肝臓がんですが、けしてそうではなく、特に新たな転移例も出てきている現状においては、適切な緩和ケアが大切になります。