症状緩和のために大切なもの。
色々ありますが……
極めて重要なのは、アセスメントです。評価と分析。
原因が何か、それを特定することで、治療が変わります。
逆に言えば、原因と合っていない治療をしても、いつまで経っても良くなりません。
治療に関しては、検索すれば、一般の方も「この薬が良さそう」とはすぐに見つけることができます。
ただし、それがその方の病気に合っているのかどうか、そのために必要となるのがアセスメントなのです。
そこに専門家の関与の意義があります。
何度か触れていますように、医療用麻薬の有名な副作用に吐き気がありますが、「医療用麻薬が原因で吐き気になってしまって……」とされている患者さんの多くが実際は医療用麻薬が原因ではありません(少なくとも私の経験範囲では)。
それ以外の原因に合った薬剤を選択すれば、吐き気はスッと良くなります。
専門家だからこそ、思い至る原因というものもあり、逆に言えば、それがわかるのが専門家とも言えるかもしれません。
一例を挙げましょう。
背中が痛い、背中がとても痛い、そう仰っているがんの患者さんがある時紹介されました。
がんの患者さんが背中が痛い―
考えなければいけないのは、「骨転移」の有無です(※ただし実は変形性腰椎症等だったという場合もありますから、同病の方も心配しすぎないようになさってください!)。
出されているのは、なんと「リリカ」という薬剤のみ。
患者さんは「お友だちの患者さんが効いたと言っていたから」という理由で、担当医に強く所望し、リリカが処方されていたのです。
もし患者さんの背中の痛みが骨転移ならば、最初に出されるべき薬剤としてリリカは不適当です。
直近に行われているCT検査を見ると、腰椎に骨転移を認めました。
この患者さんの痛みの原因は、リリカが対象とする神経の痛みではなく、骨の痛みであると判断されます←これがアセスメント。
患者さんには、医療用麻薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方し、痛み緩和のための放射線治療を追加することで、大幅な症状緩和を得て頂くことに成功しました。
アセスメント、それが症状緩和において、緩和ケアの専門家に頼む意義の一つです。