肺動脈性肺高血圧症の治療薬のトレプロストというお薬があります。

 

 

患者さんはこの薬を持続皮下注射します。

 

 

しかしこの薬剤、個人差があるものの、開始期に痛みが出ることが知られています。

 

 

使われ始めた当初は痛みで継続不能な患者さんも多かったと、勤務病院の専門家から伺っています。

 

 

アメブロでもトレプロストについて記事にしている患者さんがいますね。

 

 

トレプロストのメリット

 

トレプロストのデメリット

 

トレプロストの痛みあれこれ

 

 

同治療を行う医師としては、何としてでも患者さんに薬剤の恩恵を届けたい。

 

 

しかしそのためには、特に投与開始後しばらく継続する痛みを何とかする必要がある。

 

 

痛み治療の専門家として、何か良策はないだろうか、そんな相談を受けたのは3年前。

 

 

その際に提案したトラマドールは、今もトレプロスト導入期の患者さんの疼痛マネジメントに有効に使われています。

 

 

ただ中には、トラマドールでも制御できなかったりする患者さんもいます。

 

 

このような時こそ、痛み治療の腕の見せどころです。

 

 

先述の患者さんのブログでは

 

 

「因みに痛み止めは(弱い順)

 

*カロナール

*ロキソニン

*トラムセット

*モルヒネなど

 

のように段階を踏んでいくみたいで」

 

と記されています。

 

このように、施設によっては鎮痛薬のステップアップで対応している場合もあるようです。

 

ただ鎮痛薬は、それぞれ作用点・作用メカニズムが違います。

 

併用したら併用しただけの効果を得られる可能性があります。

 

あるケースでは、僅かな体動でも激痛が出るなど、炎症が強いと考えられたため、

 

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を加えました。

 

トラマドール+NSAIDsです。

 

すると、疼痛の大幅な減少を認めました。

 

ちょっとした創意工夫で患者さんが良くなるのは嬉しいことです。

 

トレプロストの痛みは最初の時期に集中するとのことであり、同時期を鎮痛薬併用で乗り切れば、その後諸薬剤を減量することが可能です。

 

痛み止めは「替える」というイメージが一般に強いようですが、「併用する」というオプションもあり、

 

トレプロストの激痛にもそれは例外ではないと実感されます。やりようは色々とあるものです。

 

 

なおがんの痛みの場合でも、このような鎮痛薬の組み合わせ治療は一般的なものです。

 

痛みはつらいものですから、様々な手段を用いて緩和されると良いですね。