「リリカ」という薬剤があります。

 

 

神経の痛みに効く薬剤です。一般名はプレガバリン。

 

 

名前がかわいらしいこともあり(?)、患者さんに名前を覚えてもらえやすい薬でもあります。

 

 

例えばオキシコンチンなどは、「何とかコンチン」とか、以前は「コンチキチン」(!)とあだ名をつけていた患者さんもいます。

 

 

薬の名前はしばしば少々覚えにくいです。一方でリリカは名前も短いし、まるで女の子の名前のようです。

 

 

以前60代のある患者さんは、リリカで大変良くなったこともあり、

 

 

「リリカちゃん」

 

 

と言って喜んでおられました。

 

 

「リリカちゃんのおかげで調子良いわあ」と。

 

 

ただ、そんなリリカですが、必ずしも効くとは限りません。

 

 

まためまいやふらつきで、継続困難な患者さんもいます。

 

 

他の薬剤と同様、万能薬ではないのですね。

 

 

以前あるブログに、「Dr.大津の専門書を読んで、主治医の先生に頼んでリリカを出してもらったが、あまり効きませんでした」

 

 

という記事がありました。

 

 

合う合わないがありますので、必ず効くわけではありませんし、向いている痛みがあります(神経障害性疼痛です)ので、それ以外の痛みに関しては優先すべき薬剤があります。

 

 

がんによる神経障害性疼痛でも、まずは医療用麻薬使用が優先されます。効果と副作用などを勘案すると、です。

 

 

以前もある患者さんが、

 

 

「リリカをください」

 

 

と名指して求められました。医療用麻薬よりもリリカを最初から出してほしいのだそうです。

 

 

けれどもどう考えてもリリカより優先すべき薬剤や治療があったので、お出しせず、もっともふさわしい治療を行いました。

 

 

結果的にはその治療が奏効して、患者さんはとても良くなりました。

 

 

専門家が治療を考える時には、その副作用も十分考慮して選択します。

 

 

例えば眠気が元々強い患者さんにリリカを出せば、さらに眠気が増えてリリカの継続が困難になるかもしれないため、眠気の副作用が少ない痛み止めを選択する、など(ここでは簡略化していますが、これら様々なことを考えて薬剤は選択します)。

 

 

ふらつきが強かったり、転倒歴がある患者さんには、やはりリリカ以外を考えたほうが良いでしょう。

 

 

患者さんから「リリカを!」という要望があるくらい、情報が広まったのだなと感じる一方で、適している適していないに関しては、やはり専門家のしっかりとしたアセスメントが重要となります。