8月になって発表された、代替医療のみで治療した患者は、標準治療群よりもずっと死亡リスクが高いというアメリカ発の報告。





乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんでの、「非」転移例の調査で、代替医療のみ群は標準治療群と比較して死亡リスクが2.5倍、乳がんでは5.68倍であったという結果。


どういう人が代替医療のみを選択しているかの分析は興味深く、「乳がんと肺がん」「経済的に裕福」「ステージⅡやⅢ」「合併症が少ない」と、先頃話題になった小林麻央さんのような背景の方が多いようです。


もちろんこれはアメリカでの結果ですが、日本でも同じような背景の方が、標準治療を行わず代替医療を選択するという割合は相対的に高い可能性があります。私の印象も同様です。


当然のことながら治ったり、長期生存したりが本来は望みやすい群でもあります。それなので、その選択の結果は重いです。


もちろん標準治療を選ばず代替医療を選択するには個々のケースごとに固有の事情があるとは思いますが、


社会的なステータスが高い方は、様々な情報が入ってくるでしょうから、その中には代替医療>標準治療と謳うものが含まれているということは容易に考えられましょう。


また経済的に裕福ならば、金銭的な治療の制約は減るでしょう。特に日本においては、保険が使える標準治療のほうが安いということが多々あり、裕福なほうが代替医療はしやすいでしょう。


あるいは、病期の進みがそれほどでなく、合併症も少なければ、まずは非侵襲的に「見える」治療に気持ちが傾くということもあるかもしれません。以前ヨミドクターで記したように、将来のQOLや生存のために今のQOLを下げる治療を行う場合は、一見理解が難しくもあります。特に症状が乏しい場合は。


ただ、代替医療のみには相当な死亡リスク上昇があるということですから、


今まさに選択に悩んでいる方やそのご家族、周囲の方に参考にして頂ければと思う情報ですね。


(特定の故人やご家族の選択に何かを申すということではありませんので、その点は申し添えておきます)