小林麻央さんのブログで、マスコミ報道に間違いが多いということが記されていました。

 

 

100% 間違い→99%間違い

 

 

どの報道がそうなのか、議論を呼んでいるようです。

 

 

この記事、という話もありますね。

 

小林麻央 懸命のがん闘病を支える“万全医療チーム”の献身

 

確かに、この匿名の”乳がん治療に詳しい内科医”の談話の(たぶん)まとめ方が今一つで、またなぜそこでDICと決めつけられるのか? と怪しさ満点です。

 

 

<以下引用>

 

 

「麻央さんは、4月24日のブログに輸血をして痛み止めの量を増やしたら、息苦しさが軽減したと書いています。これはDIC(播種性血管内凝固症候群)の治療をしているためだと思われます」

(中略)

「大量の血栓が発生し、呼吸困難、急性潰瘍による下血などを起こします。麻央さんが息苦しさを訴えていたということは、肺に血栓ができていた可能性があり ます。治療法はまずは輸血。栄養もたくさん入れられますし、血液のバランスが改善されます。治療後、体はだいぶ楽になっているようですから、“緩和ケア” は成功したのではないでしょうか」(前出・内科医)

 

 

<以上引用>

 

 

肺に血栓……とは、いったいどういう根拠なのでしょうかね。

 

 

例えば乳がんはがん性リンパ管症などという病態でも息苦しさが出ることがあり、DIC一点読みの推測はまさしく一対一対応の単純化されたわかりやすさ重視・正確性軽視の議論だと感じます。

 

 

だいたい、病態を説明するには実名が望ましいと思うのですが、本当に正式にコメントを求めているのでしょうかね? 

 

 

 

また上記の記事を受けた一般の方の反応も拝見しましたが、頷くものと同時に、非常に驚かされるものがありました。

 

 

例えば「チームで寄り添うような治療」を、金銭的余裕から受けることができている、というようなコメントまであり驚きました。

 

 

現在のがん治療はチーム医療であり、しっかりとした病院ならば「誰でも」それが供与されるのが通常です。

 

 

けして裕福な人だけが、チーム医療が受けられる、というわけではないのですね。

 

 

また、医療用麻薬が性格に影響しているのではないか、などという驚きの主張も拝見しました。

 

 

麻薬と医療用麻薬の混同が起きてしまっていますね。

 

 

医療用麻薬治療で性格が変化することはありません。

 

 

むしろ痛みや苦しみを放置することが、イラつきや不安などを強め、性格を変えてしまうように見えることがあります。だから症状緩和が必要だという話になってくるわけです。

 

 

がんの高度進行・終末期は、たとえ医療用麻薬を使わなくても、眠っている時間は増え、しばしばせん妄も発症し、また自然な変化の範疇としてこれまでと性格が変わって見えるようなこともあります。

 

 

 

医療用麻薬治療について記した拙著も、表紙が上がってきました。

 

 

 

 

特に医療用麻薬について報じるマスメディアは、このような本をしっかり読んで報じてもらいたいと希望します。

 

 

この分野に関しては、まだまだ誤解が多いと感じます。

 

 

少しでも良い方向に変わってもらいたいと願います。