先日札幌に講演会で赴きました。

 

 

あるドクターの先生が、「愛読者です。サインしてください」と仰ってくださいました。

 

 

本の表紙を見て、「おっ!」と。

 

 

最初の本『死学』であったからです。

 

 

今は絶版になりました(文庫本で改題『死ぬときに後悔しない医療』として収載)から、随分と前から読んでくださっていたことがわかり、嬉しかったです。

 

 

『死学』は2006年の12月15日に出ています。

 

 

そう、皆様のおかげで、執筆デビューから10年が経過しました。

 

 

本当にありがとうございます。

 

 

当時私はホスピスに勤務しており、近隣の大学病院などから紹介されてくる患者さんの初診面談時に、「何もしない施設など来たくなかった」「ホスピスでは何をされるのかが怖い」「安楽死とかと関係ありますか?」など、驚くような質問を多々受け、気がつけば同じようなことを何べんも説明していることから、一般の方向けに緩和医療・緩和ケアをわかりやすく説明する本が必要だと感じたことが、『死学』を出すきっかけになりました。

 

 

今はたくさんの一般向け書籍が出されていますが、往時はそれほどでもなかったからです。

 

 

しかし執筆の実績がなかったため、持ち込みを20社くらい行うなどし、ほとんどが何も反応がない中を、小学館さんが興味を示してくださって、そこから1年余りを改稿に費やし、10年前の本月に発表することができたのでした。

 

 

またホスピスに行った当時(2005年)は、「名乗ればあなたもホスピス医」「若手の医師が行くようなところではない」というようなことを言われ、若手から緩和医療医を志す医師が増えている現在からは考えにくいような状況がありました。

 

 

専門性が、今ほど評価されていなかったのです。

 

 

そんな中において、緩和医療医の技術を一般の方に知ってもらいたいという思いもありました。巧みな緩和医療で、患者さんの痛みなどが緩和されます。すると生活や表情が変化します。日々が見違えたようになったと仰る患者さんの姿や声を伝えたいと思いました。

 

 

その後、がん対策基本法の流れから、緩和医療の重要性が周知されるに至り、専門医制度も整備され、緩和医療や緩和医療医に対する見方も以前とは大きく変化していることを感じております。

 

 

10年執筆活動を続けて来られたのは、ひとえに多くの方のご支援の賜物であると存じます。

 

 

ブログ読者の皆さんのご支援もそうです。ありがとうございます。

 

 

引き続き意義ある情報の発信につとめるつもりです。

 

 

皆様、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。