どこかで見たような記事でした。
先日触れた東洋経済さんの記事と同じものですね。
がん細胞を兵糧攻め!「究極糖質制限」の威力 という記事を読み解く メディアが流す情報の吟味が大切
今回もよくよくみると、「抗がん剤などの既存の治療と、糖質制限による食事療法を3か月続けた」と書いてあるので、一応は既存の治療を併用していることがさらりとは書いてあります。
東洋経済さんの記事では
(以下引用)
さて、この9例の1年後の評価はどうなったのでしょうか。3例がCR(完全寛解)、3例がPR(部分奏功)、1例がSD(進行抑制)、2例がPD(増悪)による死亡と、奏効率が67%、病勢コントロール率が78%という結果になりました。臨床対象者以外の免疫栄養ケトン食実施者も含めると(総勢18人が3カ月以上実施)
(以上引用)
と「ステージⅣの進行再発大腸癌、乳癌の患者」は9人となっていますが、今回の記事では「19人の末期がん患者」と、少し人数や内訳が違う気が。
医療関係の記事は、医師がチェックをするのが通例なので、チェックはされているはずです。
そして出ました、またこのフレーズ。
「大腸がんや乳がんなどステージIVの末期がん患者を対象」
「患者の大半は三大治療では治る見込みが薄かった末期患者である」
と、ステージⅣを末期がんと呼称する基本的な誤り。
ステージⅣはがんの広がりを示しているだけに過ぎず、がんの種類によっては年単位の余命も稀ではありません。少なくとも、一般的な考え方として「もうがんの治療ができず、余命が短いと推測される」末期がんと一緒くたにするのは大きな間違いです。
一般の方ならばともかく、ライターさんも関与しているだろうメディアの記事では、いいかげんこのような誤りは止めてほしいですね。その内容や専門性に懐疑が生じます。
そして本例に関しては、何と言っても「がんの治療をしています」からね。
それで奏効したと言っても、がんの治療が効いている可能性がある以上、確たることは何も言えません。
肺炎の患者さんに抗生剤を投与しながら食事療法をして、「食事療法で効果がありましたよね」と言うようなものです。
同じような記事を複数媒体が取り上げていますが、メディアはどうしても科学の外貌に弱いのでしょうか。
大切なことは、読む側が洞察する力を身につけることであり、それが特異な論に惑わされて道を誤らないために重要なことだと考えます。