がんと闘病の小林麻央さん、BBCに寄稿 「色どり豊かな人生」
という記事が配信されています。
(以下引用)
今も、私の身体は、がんと共にあります。
私は、テレビに出る仕事をしていました。
病のイメージをもたれることや弱い姿を見せることには「怖れ」がありました。
なので、当時、私は病気を隠すことを選びました。
隠れるように病院へ通い、周囲に知られないよう人との交流を断ち、生活するようになっていきました。
1年8か月、そんな毎日を続けていたある日、
緩和ケアの先生の言葉が、私の心を変えてくれました。
「がんの陰に隠れないで!」
私は気がつきました。
元の自分に戻りたいと思っていながら、
私は、陰の方に陰の方に、望んでいる自分とは
かけ離れた自分になってしまっていたことに。
(以上引用)
小林麻央さんの変化のきっかけをつくったのが、緩和ケア医の言葉であったことが示されています。
「がんの陰に隠れないで!」
というのは、踏み込んだ言葉であると考えます。
この言葉は、医師と患者さんの関係性の中に成立する言葉であり、例えば私が初対面か、会って間もない患者さんに、相手の背景や性格、環境を見極めて発しなければ、むしろ逆効果になる可能性もあります。
緩和ケアの担当者は、常に言葉を考えています。
それでも、ある言葉が良い方向にも、残念ながら意図せず悪い方向にも作用することがあるため、細心の注意を払いながらも、時としてその限界も感じながら治療に当たっています。
緩和ケア医の、「その人らしさ」を考えた時にもっともふさわしいと考えられた言葉かけが、非常に良かったケースであるのでしょう。
言葉は人を傷つけることもあるし、生かすこともあります。
「がんの陰に隠れないで!」はリスクも取った声かけだったと思いますが、小林麻央さんらしさを把握した上で、また医師と患者さんの信頼関係ができた上での、変化を誘発する声かけだったのだろうと拝察されます。
こうしたところに、緩和ケア医の名が出てくることは、ちょっとうれしいですね。
それでは皆さん、また。