オピオイド(医療用麻薬)を自分で使ってみました。

 

 

・・・と書いて、すみません、少し看板に偽りありです。

 

 

医療現場で使用されている痛み止め薬の一群で、中枢神経系などに幅広く分布するオピオイド受容体に作用することで痛み止めの効果を発揮する薬剤を総称して「オピオイド」と呼びます。

 

 

オピオイドと医療用麻薬は重なるものの、完全に一致はしません。

 

 

例えば、レペタンやソセゴンといった商品名の薬剤は、オピオイド受容体に作用する薬剤なのですが、医療用麻薬指定になっておらず、ゆえに医療用麻薬とは呼びません。

 

 

しかし指定になっていないだけで、オピオイド受容体に作用するのは事実ですから、誰もがご存知の「モルヒネ」と他の医療用麻薬指定になっていないオピオイドは作用点は似通っています。副作用も同様です。

 

 

もし炎症性の、あるいは神経障害性の痛みがない人が、良い痛み止めだからと濫用すれば依存を形成しうる(止められなくなる)可能性があるのも同様です(注;がんの痛みの患者さんは依存にはなりません)。実際にソセゴンなどは依存の方が現にいらっしゃいます。

 

 

医療用麻薬指定になっておらず、つまり麻薬扱いではないけれども、有名でよく使われているオピオイドとしてトラマドールがあります。

 

 

トラマールやワントラム、アセトアミノフェンとの合剤のトラムセットなどが商品名として挙げられます。

 

 

医療用麻薬になっていないためか、処方側、服用側どちらにとっても心理的な障壁が少ないことも一部要因としてあると思いますが、中にはモルヒネなどと全く違う薬剤として捉えられていることがあります。モルヒネには過剰に心配する一方で、トラマドールは普通の痛み止めと思っているなど。

 

 

しかし作用点はオピオイド受容体ですから、その点はモルヒネもトラマドールも一緒です。

 

 

今回筆者自身は抜歯を受けましたので、それでトラムセットを頂戴しました。トラムセットはオピオイドですが、医療用麻薬指定ではないため、ちょっとタイトルでは大げさに書いてしまいましたね。なお、トラムセットは「抜歯後の痛み」が適応症になっています。

 

 

痛みには結構強いほうだと思いますが、せっかくの機会なので、代表的な非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のロキソプロフェン(商品名ロキソニン)や、手持ちの市販品のアセトアミノフェン(商品名タイレノール)と飲み比べ、及び併用をいろいろなパターンで試してみました。

 

 

がんの痛みの患者さんには、しばしば(単剤では緩和できない時に)アセトアミノフェン+NSAIDs+オピオイドという処方をすることがあります。今回は併用も自分で体験してみました。

 

 

ただこのような体験談は、バイアス(偏り)もあることをご理解頂いてお読みください。

 

 

私は実際の薬効を知る立場にありますので、そのような心理的要素の影響も完全否定はできないからです。また、誰にも同じことが当てはまるわけではありません。体質は人それぞれです。さらに、病気自体もその時その時で変化しますから、薬剤よりも病気の影響が強いことだってあるでしょう。

 

例えば、痛みがもっとも強い時期に飲んだ薬剤の効果は低く感じがちで、痛みが(治ってきて)そもそも弱い時期に飲んだ薬剤の効果は強く感じる、というようなことだって考えられます。

 

さて今回手持ちで用意したのは、次の三種類です。

 

①トラムセット錠(うちトラマドール37.5mg≒内服モルヒネ換算3.75mg + アセトアミノフェン325mg)

②ロキソニン錠60mg

③タイレノール錠300mg

 

はたしてそれぞれの薬剤の効果や、効きの感じ方の違いはどうだったか・・・・・・?

 

次回に続きます。