誰々さんは「若いからがんの
進行が早い」のでは?


最近もしばしば聞く
フレーズです。


しかし一概には言えません。


高齢者でも甲状腺未分化がん
というがんの場合や、
一般に、進行して見つかった
すい臓がんなどは、例え
患者さんが高齢者でも早い
経過をしばしば辿ります。


一方で、20代の方でも
例えば精巣がんの胚細胞腫瘍や
卵巣がんの間質性腫瘍で
ステージⅣ、しかも全身に
転移していても5年以上
生存される方もいます。


たくさん拝見すると
簡単には言えない
ということがよくわかります。


だから、根拠がはっきり
しない、若いと早いという
ワンパターンフレーズも
そろそろ「がんは人の数だけ
違う」というより正しいフレーズに
置換されるといいと思います。



人の数だけ違う病気だから
こそ、患者さんはしばしば
周囲の安易な、あるいは
心を込めての場合もあるだろう
「自分の解釈からの決めつけや
助言」に苦しみます。


「ストレスから自己免疫が下がって
がんになっちゃったんだね」
「遺伝の要素が大きいんじゃない?」
「健康食品をもっと取り入れれば
がんに勝てるよ」等々……


そんな簡単なものではないのです。


病気がひとつとして同じではない
というのは怖いことです。
昨日の誰かの勝利が、完全コピー
しても今日の自分の勝利に
結びつかないかもしれないという
厳しい現実です。


また、スピーディーに物事を
運ぶため普段は有益な「分類」
という行為が
時に決めつけを招いてしまう
危険があるのが、このような
事柄だと言えるでしょう。


なお、出る症状も本当にそれぞれ。
置かれている状況も人それぞれ。
緩和医療もまた、科学的根拠を土台に
した、高度に個別性を有したもの
と言えるでしょう。だから、
皆さんの周囲の緩和ケアの担い手も
日々頭を悩ませています。


「モルヒネで安楽死」
「モルヒネで命と引き換えで楽にする」
「『緩和』に行ったらおしまい」
「安楽死法案を第一に!」
(筆者コメント;緩和医療を知ってもらう
ことや担い手が増えることもそれ以上に
大切とは思いますが)


お願いしたいことは、
イメージで上記のようなことを
つい言いたくなった場合でも、
国立がんセンターのがん情報サービス
など、正統な情報を基本として
収拾してから、発信したり
病者と話すと、不用意なことを
言ったり傷つけたりしにくく
なるのではないかということです。


がん情報サービス


有名人の体験談は、ある種
それぞれの方の現時点での
理解のリトマス紙であり、
「わかっているなあ」という
鋭いコメントを発信する方から
先述の「」群に示したような
種々の誤解を何の疑いもなく
出してしまう方も見分ける
のだということに改めて気がつき
ます。


全体としては、やはりもう少し
がんのことについて知って頂くと
よいというケースも多いと感じます。
もちろん当ブログの読者さんは
大丈夫とは存じますが、様々な
サイトにはまだまだすごいものが
あるものです。


良い方向に進んでもらいたいですね。