こんにちは、大津です。



『近藤誠の「がん理論」徹底検証』という本に寄稿させて頂きました。











興味深いのは、近藤誠さんの意見をほとんどの医師や、池田清彦さんも極端だと認めていることでした。


そうです。とても極端なのです。


一方で同じく興味深いのは、極論は「そうでもしないと医療界は変わらないから」という思いからだろうとの好意的評価が散見されることです。


良いものまで歪めて説明する(例えば緩和ケアに関して)のは、本当に医療界ひいては社会、患者さんのためなのでしょうか?


わかってやっていても、わかってやっていなくても、問題は大きいと思います(なお私個人としては医療全般、医者に対する不信が満ちた内的世界が、表出しているように感じます)。


この彼の著作・言説の特色である、極論をどう捉えるかによっても評価は変わりそうです。


また特集に応じるにあたり著作を数冊読みましたが、彼の姿勢・文章も戦闘的であり、彼の熱心なファンの方々もしばしば戦闘的な言葉が多く、感応する少数の人たちを闘いに駆り立て、ごく一般的な方たちの迷いは深める単純化・善悪論・陰謀論が、私としては(少なくとも後期の彼の著作は)要らざる争いや現場のコミュニケーション不全に影響しているように感じています。


個人的には、奥村さんがまとめていらっしゃる年表と解説(p12~17)が非常に面白かったです。文藝春秋を使ってブームを作り、そして沈黙期を経た後、再びブームを作ったのも出版を通してでした。そしてそこに様々な出版関係者の力がありました。メディアに関しては米山公啓先生が触れておられます(p94)が、私も同感です。


いずれにせよ千円札1枚で買えるという価格ながら内容は詰まっており、興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか?