内科専門医試験に合格し、内科専門医になりました。


症状緩和を行うにも内科的な知識は重要ですし、がんの他にも様々な疾病を持たれている患者さんを拝見する機会も多いですから、病気に対する総合的な理解、全身を診ることが緩和医療担当者としての普段の臨床で求められています。


試験とその準備を通して、改めて内科領域の広さと、新しい知見の大幅な増加を感じた次第です。


日々や週末の業務が繁忙でなかなか準備をする時間も取れず、8月から本腰を入れ、9月中旬に試験で、12月が発表でした。


難問が多く6時間250問という長丁場の試験でした。8割正解できたので及第点とは思いますが、試験開始後全ての時限で退出可能な1時間で出て行かれた方(2時間×3のところを、どれも1時間で終わったよう。私はいずれも2時間いっぱいかかりました)がいて、天賦の才だと感心しました。


日々の着実な勉強が、どんどん新しくなる臨床に遅れないためには重要だと改めて思いました。



ところでこのブログの読者の皆さんは、医療関係のお仕事ではない一般の方が多いと思いますので質問してみます。


私が開業医になった時に、看板や広告で「緩和医療専門医」と名乗れると思いますか?


答えは・・・




名乗れないのです。


なぜか。


「広告ができる専門医資格」は国が定めています。


医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について


広告可能な専門医を認定する団体の基準は「会員数が1000名以上であり、かつ正会員8割が医師であること」という規定があります。


緩和医療学会は看護師さんなどの医師以外の職種の正会員が多いですから、医師の会員数が8割ありません。


従って、広告可能な条件を満たさず、私は緩和医療専門医を標榜できないのです。


緩和医療専門医は、実はなるのが大変です。私がこれまでに取得した専門医の中でも一番大変でした(個人の感想です)。この専門医は確かに、相当な緩和医療の行い手であると思います


それなので、ちょっと積極的にお知らせできないのは残念なことですね。


また同じように、医院の看板に「内科」「皮膚科」「小児科」と複数の科が書いてあることはよくあると思います。


そこに「緩和ケア科」と名乗れるでしょうか?


皆さんはどう思われますか?


答えは・・・




名乗れません。


緩和ケアは単独では名乗れないため、「緩和ケア内科」にするか「緩和ケア外科」にするかで、標榜することができるのです。


そのようなことも医療法という法律で規定されています。


参考;広告可能な診療科名の改正について - 厚生労働省(PDFファイルです)


ただ、緩和ケアも単に内科だけではなくて、幅広い要素を含んでいるので、内科だけではないのだけれども・・・という気がします。


こちらも「緩和ケア科」あるいは「緩和医療科」と単独で名乗れるようになると良いですね。



引き続き全身を診る内科医としての背景を活かして、緩和医療に従事し、専門医の名に恥じぬように日常臨床に従事していきたいと思います。