Sさんからメッセージを頂戴しましたので紹介します。



(以下メッセージ)


主人は2009年に黄疸がでて、膵頭部がんステージⅣaで、十二指腸切除術をしました。

今年6月に亡くなりましたが、癌性疼痛がなく(本人曰く) 、抗がん剤は経口の飲み薬をやり、その後、外来での点滴の抗がん剤治療を受けました。

食道静脈瘤やら腹水はありましたが、それほど増えるわけでもありませんでした。

前置きが長くなりましたが、質問です。

よく「末期がんから生還した」と言いますが、あれはどういう事でしょうか?

不思議です。


(以上メッセージ)


Sさん、ご質問ありがとうございます。またご主人のこと、お悔やみ申し上げます。


ご質問の件ですが、そうなのですよね。


例えば下の記事でもそうなのですが


「末期がん」からの生還 後編


これらの方のがんはけして末期がんではありません。


末期がんとは、一般的に、高度に進行したがんであり、かつ有効な治療が既にない状況です。


けれどもこれらの方はちゃんと治療をして、回復しています。


すなわちまだ治療ができる状態だったのであり、これらの方は末期がんではありません。


もちろん「ステージⅣのがん=末期がん」ではありません。


ステージⅣでも、原発がどこか、転移がどこかによっては、完全に治るがんもあります。


大腸がんの肝転移などは、これに該当します。


実際に、6回のがん手術を乗り越えたことで知られる関原健夫さんは大腸がんの肝転移や肺転移で手術を受けています


根治は難しくとも、ステージⅣでも、延命し症状緩和できる治療ができる場合も多いです。


治療が可能な場合は、一般的な医療現場では、末期がんとは呼ばれません。


編集部も混同しているのか、それとも意図的なのか、このような表現はしばしば散見されます。


「末期がんから生還した」はほとんどの場合正しくはなく、「非常に進んだがんから生還した」「ステージⅣのがんから生還した」が正確な表現だと思います。


もう少し、正しい言葉と用法が知られてほしいと思います。


それにしても試しに「末期がんから生還した」の言葉で検索してみると、怪しいサイトが次から次へと・・・。


そう、末期がんの人が、私の治療法を使って良くなりました的な話がざくざくと出て来ます。


本当に考えさせられます。このような論者が言う「末期がん」も本当には末期がんではないのだと思います。


オーバーな表現の裏には、まやかしあり。私たちは改めてそれを心に留めておくのが良さそうです。



追伸 なお関原健夫さんのインタビューはとてもためになりますので、全文ご覧になると良いと思います。病気や医療者との付き合い方について示唆に富むメッセージであり、私も同感です。